湖池屋の塩味ポテチの食べ比べ〜プライドポテトの本格うすしお、平釜の塩、東急ストア限定のSalt Only〜
湖池屋の塩味系ポテチを食べる
地元の東急ストアで買ったポテチを食べた。東急ストアに限らず売られているプライドポテトの「本格うすしお味」と「長崎 平釜の塩」と、もう一つは東急ストア限定とされる「Salt Only」。原材料名を見ると、本格うすしお味と平釜の塩には昆布エキスパウダーなど塩以外の材料が使用されているのに対して、Salt Onlyは文字通り塩のみの味付け。パッケージはプライドポテトシリーズと同じ縦型タイプなり。一瞬プライドポテトシリーズの最新作かと思ったが、パッケージを見る限りそうではないようだ(パッケージの写真は本文の最後に掲載)。
プライドポテトシリーズの裏面の料理人さんは誰?
Salt Onlyは63グラムで148円。スーパーではその量のポテチがセール品として100円未満で売られていることが多いから、この金額はスーパーのポテチとしては破格と言ってよい。
これは、湖池屋の戦略が奏功している証であろう。湖池屋のポテチに限らないが、ポテチというのはスーパーでの特番が常態化し、完全なるコモディティー商品となっている。それゆえ、われわれ消費者としては美味しいポテチを安価に食べられる恩恵に浴しているわけだが、売る方としてはもっと高い値段で売りたかろう。とはいえ、余程こだわりのある人でない限り、たとえばうすしお味を買う場合、湖池屋でもカルビーでもどっちでもいいという人が大半のはずだ。したがって、湖池屋が高く売りたいと思って値上げしても、カルビーが安い値段に据え置くと、客がカルビーに取られてしまう。
そこでカルビーとは差別化し、高価格でも売れるポテチとして発売されたのが、湖池屋のプライドポテトシリーズだったというわけである。
プライドポテトシリーズを買った人であれば気づいているだろうが、パッケージの裏側には料理人さんの写真が掲載されている。私自身、実在の料理人だと思っていたのだが、実は違って、湖池屋のマーケティング本部商品開発部の部長である白井秀隆さんという方だそうだ(「ものつくるひと 第95回『KOIKEYA PRIDE POTATO』白井秀隆」『ダイヤモンド』2017年11月18日号、127頁)。
白井さん自身が望んだわけではなく、湖池屋品質の考え方のひとつに「料理人がいる湖池屋」という素材のうまさを引き出すという考え方があること、商品に携わった人の想いが宿っていなければならない、ということで、社長のアイデアにより白井さんがパッケージの裏面を飾ることになったのである(同上、127頁)。
こういう新しい発想を盛り込んでくるあたり、プライドポテトにかける湖池屋の熱い想いが伝わってくる。
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実食
それで、食べた感想であるが、Salt Only→本格うすしお→平釜の塩の順番で、まぐろ節や昆布といった旨み系に味が効いてくる。食べ比べでなければ、平釜の塩は、もっともポピュラーなうすしお系の味と感じるが、旨み系の原材料を含まないSalt Onlyと食べ比べると、むしろ「出汁味?」と感じるほど、旨み系の味が強くなっている。食べるにつれて舌が慣れるのか、平釜の塩味でも塩を感じられるようになる。平釜の塩は堅揚げほどではないが、やや厚みがあって食べ応えがある。
全体的に油切れがよく軽い口当たり。本格うすしおはほんのりとしたまぐろ節の風味。単独で食べればまぐろ節が入っていると気づかないくらいのほんのり加減。塩だけで味付けしたポテチは海外ではよく見かけるが、それらの海外勢に比べてSalt Onlyは、だいぶ油っぽくないように思う。じゃがいもを油で揚げるという単純極まりないお菓子。ノンフライポテチは物足りなく感じるが、さりとて油っぽい(もしくは酸化している)ポテチはポテチ本来の美味しさが損なわれている。だから、油っぽくなく軽い口当たりを実現するのは単純なお菓子だからこそ重要になるのであり、湖池屋のポテチのクオリティは同社がポテチ製造の工程をしっかり磨き上げたからこそ実現した成果なのである。
今回食べた3つの中でどれが最も好みかと問われれば、私はしょっぱ口なので平釜の塩が一番好みである。
ごちそうさま。次は何味を食べようか。
ちなみに湖池屋のポテチといえば、こういった記事も書いているので、ご高覧いただきたい。
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カルビーのビーフ味の進化を見る&山芳のmikeバターしょうゆビーフ味を食べる
カルビーのポテリッチ、炙り和牛と塩味とグリルビーフ味を食べる
カルビーのポテリッチの炙り和牛と塩味とグリルビーフ味を食べた。
ポテリッチは意外にもそれほど濃い味ではない。和牛は仙台牛100%のビーフパウダー。ビーフ味はほんのりといった感じだが、ビーフ系ポテチに多い胡椒風味が効いた赤身肉ステーキ風よりはやや脂質多めのステーキ感はある(仙台牛ビーフパウダーによるプラシーボ効果??)。ビーフ感が控えめなのは、和牛という高級肉感を出すための演出かもしれない。
ここで食べ比べてみたのがカルビーが1980年代の復刻版として出している、グリルビーフ味である。カルビーがフレーバーの多角化を進めたのが1980年代半ばからだから、その流れに乗って登場したポテチなのだろう。
カルビー味の多様化の背景
1960年代初頭から日本人のカロリー摂取量が増加基調になるのだが、1972年に増加のピークを迎える。これは、食べ物の嗜好が量から質に移る転換点であった。それまでカルビーはポテチを量産することで売り上げを拡大してきたが、量産型がやがて行き詰まるようになる。それが1985年頃のことであり、この事態に直面したカルビーは、客の選択肢を拡大させるため、様々なフレーバーのポテチを投入する。豊かな時代になれば選択肢が多いほうが好まれるというわけで、フレーバーの多角化によりカルビーはポテチマーケットの拡大に成功したのである*1。
実際、グリルビーフ味のパッケージには1987年の味とパッケージを再現したと書いてある。ということは、やはりグリルビーフ味は、カルビーの味の多角化戦略の中で誕生したポテチなのだろう。
炙り和牛とグリルビーフの食べ比べ
で、ポテリッチとの食べ比べである。ポテリッチと通常のポテチとでは厚みが違うため単純な比較はできないが、たしかに食べ比べてみるとポテリッチに和牛を感じる。原材料は両者ほとんど同じ。オニオンパウダーかガーリックパウダーかどうか、ポテリッチにチキンパウダーが入っているくらいで、そのほかの大きな違いといえば、ポテリッチのビーフパウダーが仙台牛100%であることだ。パウダーになってしまえばブランド牛だろうが普通の肉牛だろうが、大きな違いはあるまいと予想していたが、実際には大きな違いが現れるのかもしれない。
名前 | ポテリッチ炙り和牛と塩味 | グリルビーフ | mike バターしょうゆビーフ |
メーカー | カルビー | カルビー | 山芳 |
原材料名 | じゃがいも | じゃがいも | 馬鈴薯 |
植物油 | 植物油 | 植物油脂 | |
砂糖 | 砂糖 | 粉末醤油 | |
食塩 | 食塩 | ぶどう糖 | |
コーンスターチ | デキストリン | 砂糖 | |
ビーフパウダー(仙台牛100%使用)(小麦・大豆・豚肉を含む) | ビーフパウダー(小麦・大豆・鶏肉・豚肉を含む) | 麦芽糖 | |
デキストリン | コーンスターチ | バターパウダー | |
酵母エキスパウダー | 粉末しょうゆ | 食塩 | |
たん白加水分解液 | 酵母エキスパウダー(乳成分を含む) | かつおぶしエキスパウダー(魚醤(魚介類)を含む) | |
ガーリックパウダー | オニオンパウダー | 酵母エキスパウダー | |
粉末しょうゆ | 調味動物油脂 | 昆布エキスパウダー(鶏肉・豚肉を含む) | |
こしょう | 香味油 | デキストリン | |
粉末植物油脂 | ジンジャーパウダー | ビーフエキスパウダー | |
チキンパウダー | 調味料(アミノ酸等) | 調味料(アミノ酸等) | |
乳等を主要原料とする食品/調味料(アミノ酸等) | 香料(ごまを含む) | 香料 | |
香料 | カラメル色素 | カラメル色素 | |
酸味料 | 酸味料 | ||
カラメル色素 | 香辛料抽出物 |
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味の違いをたとえるならば、復刻版のグリルビーフ味は、よく駄菓子で見かける「ポテトスナック」のステーキ味に近く、ポテリッチはスーパーで買った和牛を焼いて食べた味といったところだ。
1980年代はビーフ味を出すこと自体が新たな取り組みであったろう。やがてビーフ味は珍しいフレーバーではなくなり(山芳のわさビーフもあるし)、ビーフ系と一口に言っても、ビーフ+αなのか、和牛なのかといった、ビーフ系味の進化のビッグバンが起きているのである。
山芳のフリトレーコラボ、mikeバターしょうゆビーフ味を食べる
ビーフ系ポテチの代表格の「わさビーフ」が世に登場したのは奇しくもカルビーのグリルビーフ味が発売された1987年。わさビーフもポテチ業界の味の多様化の流れに乗って登場したポテチだったようだ。山芳の社長がこうした時代の流れを読んでわさビーフを開発したのか、それとも単なる偶然だったのかはよくわからないが、ポテチ業界の時代の流れを俯瞰してみると、わさビーフが発売されたのは絶妙なタイミングであったことがわかる。
というわけで、ついでながら、山芳のフリトレーとのコラボポテチも食べる。この商品はフリトレーのmikeポップコーンバターしょうゆを再現している。
フリトレーはアメリカのペプシコのお菓子ブランド。もともとは単独の企業だったが、ペプシコと合併して今に至る。ちなみにカルビーとペプシコも業務提携をしているが、にもかかわらず山芳とコラボ製品出してもOKのようだ。
山芳のバターしょうゆビーフ味は、ビーフ感よりはバターしょうゆ感が際立つ。私はポップコーンを食べていないのでオリジナルの再現度は判断できないものの、バターしょうゆってB級感ハンパないながらも、人に問答無用でうまいって言わせるパワーがあるように思う。バターしょうゆはB級グルメたるポテチとの相性抜群の最強タッグだ。味は読者諸賢みなさまが想像されるとおり。スナック菓子として模範的な美味しさであった。
ごちそうさま。次は何味を食べようか。
ちなみにグリルビーフと同じくカルビーが1980年代の復刻版として出したのが「エスニカン」。食べた感想はこちら。あわせてご参照ください。
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テラフーズの超!ゆずこしょう味を食べる
テラフーズの超!ゆずこしょう味
今回はテラフーズの超ゆずこしょうポテトチップスを食べた。会社近くのナチュラルローソンで購入。
油で揚げないノンフライ製法で作られている。
45グラムで197キロカロリー。1グラムあたり約4.4キロカロリー。
通常のポテチが80グラムで450キロカロリーとすると、1グラムあたり約5.6キロカロリーだから、通常ポテチの8割くらいのカロリーということになる。20パーセントもカットされるなんてすごい、となるか、油で揚げなくても思いのほかカロリーってあるもんだな、となるかは人それぞれであろう。
私は後者である。計算してみて思ったほど減らないことに驚いた。
とはいえ、チリも積もれば山となる。毎日ポテチを食べるならば、20パーセントのカロリー削減は健康面から見てとてもナイスなことである。健康のためにポテチをやめる気は無いとしても、健康であるに越したことはないし、逆説的ながら健康でなければポテチは食べられない。病気になってドクターストップがかかったら、どんなに食べたくてもポテチを食べることが出来ないからだ。そこまで極端でなくても、あまりに太ったりすれば家族友人から窘められてしまうだろう。
実食
健康とポテチの両立を夢見て、実食である。
率直な感想としては、ポテチっぽくない。油で揚げないとこうも変わるか、と思うほど。完全にポテチとは別の食べ物である。口当たりはとても軽い。えびせんをさらに軽くした感じ、と言ったら一番イメージに近いだろうか。
私個人の感想としてはポテチに期待する食べ応えや中毒性は感じられなかった。ポテチですよー、って言われてこのお菓子が出てきたら、正直期待ハズレって感じてしまう。
ハンバーグだと思っていたら、豆腐ハンバーグだった、みたいな。
豆腐ハンバーグは豆腐ハンバーグで美味しいように、テラフーズの柚子こしょうポテチもお菓子としては美味しい。柚子こしょうの風味がきっちり効いていて、ピリリと刺激的。
ポテチという先入観がなければ、ジャガイモスナック菓子として成立していただろうし、健康上の理由により通常のポテチを食べられない、だけどポテチは食べたいという人にとっては福音に違いない。
ただ、値段は高い。ロットが少ないから単価が高くなるのか、こだわり素材&製法だから高くなるのか。
株式会社テラフーズ
テラフーズは創業が2000年、会社設立が2013年というポテチ界の新興勢力である。事業内容を同社のウェブサイトから抜粋しよう。
独自の膨化技術および遠赤外線焼成による特許製法を用いた、ノンフライのポテトチップスなどスナック菓子の開発、製造、販売およびライセンス供与事業。
遠赤焼成加工食品の開発、製造、販売。製造設備の開発、販売。
これまた最近の会社らしく新商品開発のためにクラウドファンディングをやっている。私が食べたポテチはどうやらクラウドファンディングで開発された商品だったようだ。ノンフライで健康的なポテチ、たしかにクラウドファンディングにもってこいのテーマである。
ちなみにこちらの紹介記事だと、カロリーは通常のポテチの三分の一程度とされる。実際のカロリー表示に基づくと、三分の一までにはならないように思うが、私の計算方法が間違っているのかもしれない。
こう書くと、なんかテラフーズをディスってるように見えてしまって本望ではないので、テラフーズポテチのすごいところ、すなわち、フレーバーとなる原料をジャガイモにそのまま練りこむことができる技術について触れておこう。
通常のポテチはフレーバーを吹き付けて味付けをする。対してテラフーズのポテチはフレーバーをジャガイモに練りこむ。じゃあ、それによってどういう違いが生じるのって話なわけだが、それによって原料の風味を感じられるようになるらしい。
言われてからこう言うのは後出しジャンケンのようだが、確かに柚子胡椒はかなりピリッと刺激的な風味が際立っていたのだ。そうか、そもそもフレーバーの付け方が通常ポテチと違うのか、と聞けば納得である。
食べ応えという点では個人的には物足りないものの、新たなフレーバーの可能性を切り拓くテラフーズに今後も注目する必要がありそうだ。ナチュラルローソンには塩味とか他にもフレーバーが売っていたから、まずはそのあたりを試そうか。
ごちそうさま。次は何味を食べようか。
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カルビーと湖池屋の辛味系ポテチを食べる:エスニカンとカラムーチョ
カルビーと湖池屋の辛味対決
カラムーチョは日本のポテチを代表するフレーバーだ。ポテチなんて食べないという人も、カラムーチョの名前を知ってるし、食べたことない人を探すことも難しいかもしれない。それくらい、カラムーチョは社会に根付いたお菓子と言えるだろう。
無論、私も生涯において何百袋というカラムーチョを食べてきたわけだが、ここ最近は新作ポテチやこだわりお取り寄せポテチに軸足を置く日々が続いたから、しばらくカラムーチョを食べていなかった。
そんななか、コンビニに行ったらカラムーチョの新作が出ていたし、さらに面白いのが、湖池屋に対抗するが如くカルビーが同社の辛味ポテチであるエスニカンを復刻発売していて、桜が散り始めたこの時期に二強の辛味ポテチ対決が突如として実現したのである。カラムーチョは新作も出ていたが、エスニカンと比べたかったので、商品棚にあったカラムーチョのホットチリ味を追加で購入した。
↑エスニカンのパッケージ裏
↑カラムーチョのパッケージ裏
食べる前に、エスニカンとカラムーチョのホットチリ味の原材料を比較しよう。
名前 | エスニカン | カラムーチョ |
メーカー | カルビー | 湖池屋 |
原材料名 | じゃがいも | 馬鈴薯 |
植物油 | 植物油 | |
チリパウダー | 香辛料(大豆を含む) | |
食塩 | 砂糖 | |
砂糖 | 食塩 | |
コーンスターチ | チキンエキスパウダー | |
オニオンパウダー | たんぱく加水分解物(乳成分・大豆を含む) | |
粉末しょうゆ(小麦・大豆を含む) | ぶどう糖 | |
チキンパウダー(豚肉を含む) | 野菜エキスパウダー(乳成分・大豆・豚肉・ゼラチンを含む) | |
トマトパウダー | オリゴ糖 | |
酵母エキスパウダー | 調味料(アミノ酸糖) | |
唐辛子 | パプリカ色素 | |
ビーフパウダー | 酸味料 | |
ガーリックパウダー | 香辛料抽出物 | |
調味動物油脂 | カラメル色素 | |
香味油 | 香料 | |
調味料(アミノ酸等) | ||
着色料(カロチノイド、カラメル) | ||
酸味料 | ||
香料 | ||
甘味料(ステビア:乳成分を含む) | ||
香辛料抽出物 |
香辛料系が共通に含まれるのは当然として、違いがあるのは、エスニカンのほうが様々な原材料が使われていて、コーンスターチやトマトパウダー、ビーフパウダーなどが入っていることだろうか。余談ながら気になるのが、カルビーのチキンパウダー。チキンパウダーなのに、豚肉が含まれている。これいかに?
カルビーのエスニカンを食べる
まずはカルビーのエスニカンだ。今回は復刻版としての登場ということで、もともとは1986年に発売された商品。幼い頃食べたことがあったのかもしれないが、もはや記憶に残っていない。
その名が示すとおり、エスニック感覚のポテチを志向していて、パッケージの風合いからして、明らかにメキシコなどの中南米がイメージされているように見える。
はてなキーワードでは、エスニック料理とは、「韓国、ベトナム、アラブ、メキシコ、インド、タイのスパイシーな料理を指す場合がある」と説明されているものの、私個人としては、エスニックというと東南アジアを中心とする、アジア・アフリカ圏をイメージするのであった。それは決して私だけではないようで、たとえば、女を口説くため(?)のお店をたくさん紹介する『東京カレンダー』のおすすめエスニック料理は、すべてアジア・アフリカ系の料理で、中南米のものは一切入っていない。
エスニカンを実際に食べてみると、メキシコ料理によくあるトルティーヤのような感じがする。チリパウダーの風味も効いている。トルティーヤっぽく感じるのは、コーンスターチのせいだろうか?中南米では牛肉もよく食べられるから、ビーフパウダーも中南米っぽさに一役買っているかもしれない。全体的に、カラムーチョと比べるとだいぶ中南米感が強化されているように思う。
同じ辛味系ながら、カラムーチョとは一味違って、これはこれで美味しい。継続的に販売されていないことを踏まえると、当時はイマイチ根付かなかったか、カラムーチョの二番煎じと受けとられたか、なんにせよ期待したほどの売り上げがなかったのかもしれないが、なかなかどうして、定番品になってもおかしくないくらいちゃんと美味しいではないか。
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湖池屋のカラムーチョを食べる
お次はカラムーチョ。湖池屋を代表するポテチというより、もはや日本を代表するポテチと言っても決して誇張ではない。
カラムーチョの名前は、日本語の「辛い」とスペイン語の「ムーチョ」(たくさんの意味)を合わせた造語で、辛いポテチをたくさん食べて欲しいという思いが込められているそうだ*1。
エスニカンと比べるとマイルドに感じる。チキンエキスパウダーが効いているのか、辛さの中に旨味を感じる。カラムーチョとよくある非辛味系のフレーバーと比べるともちろんカラムーチョは辛いのだが、辛味系ポテチ同士で比べると、必ずしもカラムーチョが辛いわけではないことがわかる。そのためだろう、エスニカンと比べると旨味が感じられるのだ。この辛味系ポテチながら旨味が感じられるところが、カラムーチョが根付いた要因だと思った。
パッケージの裏面には、カラムーチョ発売当時は全く売れなかったという苦労話が載っている。カラムーチョが発売された1980年代前半は、スナック菓子は女性や子供向けで、辛いお菓子という市場は存在しなかった。だから、流通の反応は厳しく、200円という価格設定も100円前後が普通のポテチ価格からすれば、かなり割高感があった*2。さらに言えば、社内的にも当初はたいそう評判が悪かったそうだ。
ちなみに、こちらはアメリカで売っていたカラムーチョのHot Chili with Seaweed味を食べたときの感想。日本のカラムーチョにも砂糖は入っているものの、甘みは感じない。しかし、向こうで販売されていたカラムーチョはしっかり甘みが感じられたのだ。それにそれほど辛くもなかったし。
カラムーチョ厚切りベーコンペッパーを食べる
比較ではないけど、カラムーチョの厚切りベーコンペッパー味が発売されていたから、こちらも食べてみた。ペッパーがすごい効いていて、カラムーチョながら唐辛子系の辛さではなくて、ペッパー系のピリピリした辛さである。これはこれで美味しいけれど、カラムーチョならやはり王道の唐辛子系辛味のほうが個人的には好みである。
ごちそうさま。次は何味を食べようか。
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フクハクのポテトハウスのポテチ、しお味と奇跡のスパイス味を食べる
九州ポテチメーカーの雄、フクハク
フクハクは、福岡県のポテチメーカーだ*1。こだわりポテチ特集があれば必ず名が挙がる、われわれポテチストの筋では有名な会社だが、私の住む東京で食べようと思うとお取り寄せが基本となる。
ポテチ製造を開始したのは1973年頃、その後ポテチ専門製造業者となった*2。
このブログをはじめる前にお取り寄せで食べたことはあったが、そうしょっちゅう食べられない貴重品である。それが先日、会社のそばのナチュラルローソンでしお味と奇跡のスパイス味を売っているのを発見し、あまりの驚きにその現実をしばし受け入れられなかったほどだが、迷うことなく両方の味を購入したのである。ナチュラルローソンでは同じくお取り寄せポテチとして名高い、菊水堂のポテチが売られており、ナチュラルローソンのナイスな仕事ぶりに敬意を表したい。
まずはしお味を食べる
見た目は厚切り。大手メーカーでも厚切りポテチは売られているが、フクハクのポテチはポテトチップスを厚切りにしたというよりも、じゃがいもを厚めにスライスして揚げたお菓子、という印象だ。サツマイモチップスに近いとも言えるし、異国風のポテチっぽいとも言える。
菊水堂もそうだが、パッケージが透明なのもフクハクのポテチの特徴である。われわれに早く食べよ、という無言の圧力をかけてくる。なぜなら、透明な袋は大手のよくある銀色のそれ(アルミ蒸着パッケージ)よりも、酸化が進みやすいからである。
酸化防止のためにフクハクもアルミ蒸着パッケージを導入した時期もあったものの、あまり好評ではなく、もとの透明なパッケージに戻したそう*3。酸化防止上の機能性を優先するならアルミ蒸着パッケージのほうが優れているのだろうが、フクハクの透明なパッケージは素朴さがあっていい。見た目的にもかわいい。
しお味は、塩とアミノ酸系調味料だ。味のパウダーが沈殿しているのか、底のほうのポテチによりアミノ酸系の味が感じられる。とはいえ、味付けはシンプルかつ素朴。そして、美味しい。
食べてみると、厚めのスライスとも相まって、大手のポテチとは違うオリジナルのスナック菓子のようである。幼少期にフクハクのポテチで育っていたならば、カルビーや湖池屋といった大手ポテチを食べたときに大いなる衝撃を感じることだろう。大手のポテチに都会的な洗練さを感じるかもしれないし、こんなパリパリじゃ食べた気しないと物足りなさを感じるかもしれない。何にせよ、ポテチのレパートリーとしてフクハクのポテチを日常的に選択できる福岡県民は幸せな人々である。
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続いて奇跡のスパイス味を食べる
しお味の次は奇跡のスパイス味の実食だ。
これは完全にお酒、というかビールのアテである。フライドチキンの粉をまぶしたような味、と言えばもっとも近いだろうか。個人的にポテチはB級グルメだと思っているが、奇跡のスパイス味は、B級ど直球の上品さをまったく狙わない潔い味である。内容量は100グラムとコンビニサイズよりも大きいくらいだが、パクパク食べ進んでしまう、危険なフレーバーなり。気分としては、ビアパブでビール片手にフライドチキンを食べているようである。
過去に食べた味の中では、香川県のご当地ポテチである骨付鳥風味がそれに近い。味といい、抜群のジャンキー感といい。
再び、ポテチストのバイブルと言うべきota25氏の『ジャガイモ学 日本ポテトチップス史』を参照すると、フクハクのポテチは、酒のつまみとして、主として博多の中洲の飲み屋屋台に出荷されたそうである(同書、46ページ)。「福岡県の独特の飲食文化がフクハクのポテトチップ初期を支えていた」とすれば、この奇跡のスパイス味は、まさしく酒のつまみという飲み屋文化が育んだ、フクハクのポテチの象徴と言える存在だ。
ポテチ製造のきっかけも福岡県内の米軍関係者からジャガイモを薄く揚げたお菓子があると聞きつけたから、ということだが、フライドチキンっぽい味はどこかアメリカナイズされた雰囲気を醸し出す。実際、アメリカでフライドチキンっぽい味のポテチにお目にかかったことはないのだが、日本人がイメージの中で連想するアメリカらしさと言ったらよいだろうか。
フクハクのポテチはやはり美味しい。
ごちそうさま。次は何味を食べようか。
静岡限定ポテチを食べる
静岡限定ポテチ①:茶ッス 抹茶ポテトチップス
先週末に熱海に行ったので、そのついでに静岡限定ポテチを2つほど買ってみた。
一つめは、茶ッスという抹茶味のポテチだ。なぞのキャラクターがパッケージの表を飾っている。インパクト抜群だ。
やや厚みがあるポテチ。
それもそのはずで、製造メーカーは、静岡県に所在するポテチメーカー、松浦食品有限会社だからである。同社は、自社製品もあるものの、OEMで他社のポテチ製造を担っており、そして同社の作るポテチは、他のポテチメーカーよりも厚めなのだ。これは多くのメーカーが使用する連続フライヤーではなく、同社が丸釜を使用することへの対応という面だけでなく、厚めこそが美味しさの秘密、という同社の精神の反映でもある*1。他のメーカーよりもじっくり揚げるため、色はこんがりきつね色。素朴でそそる色だ。
ちなみにOEMでの生産の流れは、ヒアリング(打ち合わせ) → 商品開発(種類、フレーバー、型、サイズの打ち合わせ) → 試作 → 見積もり・納期提案 → 本生産 → 納品 となっている。
で、味はといえば、あれ?、抹茶的要素は感じられない。基本塩味ながら、
パッケージに描かれた、湯呑み茶碗型頭部を持つ筋肉むきむきの「
ヘタウマ以外の表現が当てはまらないカテ筋は誰が考えたのだろう
私よりも鋭敏な味蕾を持つ相方に食べてもらったが、やはり抹茶的要素は感じられない、ということだから、抹茶ポテトチップスっすというほど抹茶感が強くないのはまちがいないようだ。味自体は、甘じょっぱいちょっと個性的なものながらクセになる味でもあるが、大量生産しているポテチではなく、ちょっと値段が高い(税抜き360円)という印象は拭えない。
静岡限定ポテチ②:カルビー堅あげポテト「桜えびのかき揚げ味」
もう一つの静岡限定ポテチは、カルビーの堅あげポテトの「桜えびのかき揚げ味」である。桜えび味ではなく、桜えびのかき揚げ味というニクい演出を加えている。ポテチは揚げ物だから自ずと揚げ物味になりそうだが、そんなことを言うと味付け担当者から、話はそんなに単純ではないと怒られてしまうかもしれない。
桜えびは駿河湾産。製造所は各務原工場。熱海が静岡県だから、このポテチの製造所が岐阜県の各務原市なのだろうか。東京に住んでいると東海道線の終着駅が熱海ということもあり、熱海が関東文化圏のような気がしてしまうが、熱海はやっぱり東海地方なのだ。ちなみに各務原は「かがみはら」と読む。ついつい「かくむはら」とキーボードで打ち込んでしまう難読地名である。
ポテチの味は間違いようがないほど、桜えび。
さすがである。
ごちそうさま。次は何味を食べようか。
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*1:ota25、大谷さん編『ジャガイモ学 日本ポテトチップス史』大谷号、2016年、43頁。
湖池屋工場直送便ポテチを食べる。そして湖池屋のこだわり
湖池屋のこだわり
プライドポテトシリーズを出したり、日本産じゃがいも100%使用をアピールしたり、最近の湖池屋がこだわり路線に注力していることは、ポテチストならずとも気づいているだろう。社名も2016年10月に「フレンテ」から「湖池屋」に変更、というか戻されている。われわれ消費者にとってポテチがコイケヤで表示されていたから、むしろフレンテという社名であったことのほうが認知度が低かったわけだが、これも会社を新たに生まれ変わらせたいという意思の表れといえよう。
さらにいえば、CI(コーポレート・アイデンティティ)ロゴもあわせて変更されている。現在のCIロゴは六角形の中に「湖」が位置する。
このCIロゴには下の意味が込められているそうだ。
六角形は、これまでの湖池屋のコアバリュー「親しみ」「安心」「楽しさ」に「本格」「健康」「社会貢献」を加えた新生 湖池屋のコアバリューを表現しています。
以前はポテチ等に楕円形の中にカタカナで「コイケヤ」と書かれたロゴが描かれていた。新CIロゴになってぐっと渋みが増したように思う。実際、「和」がイメージされているようで、現社長の佐藤章氏曰く、「わかりやすく言えば羊羹の『虎屋』さんみたいな雰囲気をイメージしました。『虎屋』さんのような和の世界観を、少しでも学びたいと思ったのです」*1。
さらに創業の原点への立ち返りが意識されている。
それから意識したのは、創業者に学べ、創業の原点に学べということ。どういう気持ちで最初、ポテトチップスを作ったのかといえば、実は天ぷらだったのです。天ぷらをカラッと揚げるように、じゃがいもの素材がジューシーで、かつ旨味を損なわないうちに揚げ切るんだと。そこからポテトチップスが始まったということを聞いて、その継承技術をいまの時代、あるいは未来に向けてどうやったら活かせるかなと、そんな発想をしてきました(同上、11頁)
天ぷらが意識されていたというのはなんとも興味深い。湖池屋は今や日本のポテチの最定番の一つである「のり塩」を生み出したスナック菓子メーカーである。ポテチは米国由来のスナック菓子だが、日本での定着過程ではスナック菓子の日本化が図られていたというわけだ。湖池屋がポテチ生産を開始したのが1962年、日本ではじめて量産化に成功したのが1967年、それ以前からポテチは日本に持ち込まれていたが、洋モノの珍味という位置付けに過ぎなかった。海外の食文化が別の国に根付くかどうかは、それが現地の文化としてアレンジされるか否かだ。それがなくては、一部の金持ちや酔狂な人がたしなむ高級な、または珍奇な食事にとどまる。現在、ポテチ市場の最大シェアはカルビーが占めているが、日本でのポテチ定着に果たした湖池屋の存在はとても大きい。讃えて讃えて讃えまくって、それでも讃え足りないほどの功績なのである。
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湖池屋の工場直送便のうすしお味を食べる
そんな湖池屋のこだわりと矜持が詰まったのがプライドポテトシリーズなわけだが、オンライン限定で別のこだわりポテチを買うこともできる。
80グラム袋が6つ、生産日から3日以内に出荷される。出来たてポテチとして有名な菊水堂のポテチは近県であれば翌日には食べられるそうだから、それにはやや及ばないが、要するに出来たての新鮮ポテチを食べられるというわけ。
ポテチなんてスナック菓子なんだから鮮度なんてカンケーないでしょ?なんて言わないでほしい。湖池屋から比べて後発のカルビーがシェア逆転に成功した鍵の一つが鮮度であった。1970年代は、スナック菓子に鮮度という発想がなかったため、鮮度が高ければ油が酸化せず風味が保たれると考えたカルビーが作りたての商品を提供することにこだわり、その早い気づきがカルビー躍進を支えたのである*2。
湖池屋やカルビーの従来品が生産日からどれくらいの日数で出荷されるのか不勉強ゆえ知らないが、それだけ鮮度が重要であり、だからこそ菊水堂のポテチが注目を浴びたのであり、湖池屋もプレミア商品的に工場直送便を発売しているというわけである。
さて、長くなったが、食べてみよう。味はうすしおだが、トッピングとしてかつお節と九条ネギチップが同封されている。
袋を開けるとじゃがいもの甘い香りが部屋を覆う。菊水堂ほどではないが、それでもなかなかのじゃがいも感だ。この時点で、美味しいに違いないことを確信。高まる期待と頬が緩むのを抑えることができない。
まずもって口当たりが軽い。工場直送便と知っているから先入観からそう感じる部分があるのを否定しないが、それを考慮しても口当たりが軽い。油っぽさがないのだ。これが鮮度のなせるわざか。普段から湖池屋にしてもカルビーにしても、その他のポテチメーカーにしても酸化防止には多大な努力をしているはずである。それでもなお製造から流通過程を経て、消費者の手に渡るまでに一定の酸化は避けられないということか。
ポテチが「生鮮食品」というのはあながち誇張とは言えないようだ。新鮮な刺身を食べた時のような衝撃、ポテチストでありながらこのように言うのはヘンだとは思うが、ポテチで鮮度によって衝撃を受けるとは思わなかった。工場直送便を食べ慣れてしまうと、通常のポテチに帰れなくなってしまうかもしれない。舌をわがままにさせるデンジャラスなポテチなのである。
↑かつお節と九条ネギチップをかけるとこんな感じ。妻は高級な感じがすると言い、わたしはどん兵衛っぽくなったと思った。どちらの舌が正しいかは読者諸賢に試していただきたい。
ごちそうさま。次は何味を食べようか。
↑工場直送便の箱に入ってくれるかと期待したが入ってくれなかった。
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