湖池屋の秘伝濃厚のり塩味を食べる
ヨーロッパ伝来時のポテト
私のようなポテチ族からすれば、じゃがいもは天が与えたもうた奇跡の食材である。中学高校の世界史の授業で習うが、その奇跡の食材は南米を原産とし、それが大航海時代にヨーロッパにわたり、さらにそれがアジアを経由して、日本に伝来した。
16世紀のスペインの歴史家カスティリーアは、コロンビアの集落を襲撃した際の戦利品の中にじゃがいもがあったことを記している。彼はじゃがいもを味も香りも良かったと評している(下記書籍、p.38)見た目は土塊のような食物だが、味は当時のスペイン人にもウケたようだ。
しかし、ヨーロッパに持ち込まれた当初、じゃがいもは人々から嫌われたらしい。 そもそも、いつ誰によってどのように南米からヨーロッパに運ばれたのか記録が残っていないのだが、かつてのヨーロッパにおいては、種を蒔かずに生えるじゃがいも(ナス科)のような植物はそれまで見たことがなかったし、種を蒔かずに生えて実を収穫できるのは、勤労を尊ぶキリスト教の教えに反する「悪魔」として糾弾されたとのことだ(p.56)。
また、じゃがいもの表皮や芽に含まれるソラニンという有毒物質を知らずに食してしまうと、子供などは最悪の場合死んでしまうから、それもあって嫌われたらしい。嫌われる理由は科学的な根拠を欠く場合が多く、「先住民の食糧だ」という偏見もじゃがいも嫌いを助長したようである(p.56)。南米に進出したスペイン人はじゃがいもを美味しいと思ったから味が苦手というわけではなかろう。
ポテチという恵をわれわれに提供してくれるじゃがいもだが、いつの時代も等しく愛されてきたというわけではないのだ。
湖池屋の秘伝濃厚のり塩味を食べる
さて、今回は湖池屋プライドポテト、秘伝濃厚のり味を食べる。
そもそも日本でポテチをはじめて量産化したのが湖池屋である(1967年)。
創業者の小池和夫氏は、日本にポテチを定着・大衆化させた功績で黄綬褒章を受章したというから、ポテチはすでに日本の国民的なおやつと言ってよいだろう。
(ポテチの写真は誤って削除してしまった)
さて、お味のほうだが、言われなければ気づかないくらいではあるものの、口に入れるとまず唐辛子が薫る。ピリ辛ではなく、七味のような香ばしさだ。包装の裏面には料亭の料理長と思しき男性が何か(のり?)を振りかけている写真が載っているが、その写真も大げさとはいえない小憎らしい仕事である。こういう粋な演出は海外のポテチには見られない、日本ならではのこだわりといえよう。
湖池屋のプライドポテトは話題になっているが、なるほど話題になるのもよくわかる秀逸な出来栄えだ。
湖池屋の通常ののり塩と比べると、唐辛子が入っているためだろうか、味がしまっているように思う。いいポテチを作ろうというポテチ界の老舗の高い志と実力を垣間見た。
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