ポテチ猫

ポテチのネタを中心としたブログです。

湖池屋工場直送便ポテチを食べる。そして湖池屋のこだわり

 

  

湖池屋のこだわり

プライドポテトシリーズを出したり、日本産じゃがいも100%使用をアピールしたり、最近の湖池屋がこだわり路線に注力していることは、ポテチストならずとも気づいているだろう。社名も2016年10月に「フレンテ」から「湖池屋」に変更、というか戻されている。われわれ消費者にとってポテチがコイケヤで表示されていたから、むしろフレンテという社名であったことのほうが認知度が低かったわけだが、これも会社を新たに生まれ変わらせたいという意思の表れといえよう。

さらにいえば、CI(コーポレート・アイデンティティ)ロゴもあわせて変更されている。現在のCIロゴは六角形の中に「湖」が位置する。

このCIロゴには下の意味が込められているそうだ。

 

六角形は、これまでの湖池屋のコアバリュー「親しみ」「安心」「楽しさ」に「本格」「健康」「社会貢献」を加えた新生 湖池屋のコアバリューを表現しています。

 

koikeya.co.jp

 

以前はポテチ等に楕円形の中にカタカナで「コイケヤ」と書かれたロゴが描かれていた。新CIロゴになってぐっと渋みが増したように思う。実際、「和」がイメージされているようで、現社長の佐藤章氏曰く、「わかりやすく言えば羊羹の『虎屋』さんみたいな雰囲気をイメージしました。『虎屋』さんのような和の世界観を、少しでも学びたいと思ったのです」*1

 

さらに創業の原点への立ち返りが意識されている。

 

それから意識したのは、創業者に学べ、創業の原点に学べということ。どういう気持ちで最初、ポテトチップスを作ったのかといえば、実は天ぷらだったのです。天ぷらをカラッと揚げるように、じゃがいもの素材がジューシーで、かつ旨味を損なわないうちに揚げ切るんだと。そこからポテトチップスが始まったということを聞いて、その継承技術をいまの時代、あるいは未来に向けてどうやったら活かせるかなと、そんな発想をしてきました(同上、11頁)

 

天ぷらが意識されていたというのはなんとも興味深い。湖池屋は今や日本のポテチの最定番の一つである「のり塩」を生み出したスナック菓子メーカーである。ポテチは米国由来のスナック菓子だが、日本での定着過程ではスナック菓子の日本化が図られていたというわけだ。湖池屋がポテチ生産を開始したのが1962年、日本ではじめて量産化に成功したのが1967年、それ以前からポテチは日本に持ち込まれていたが、洋モノの珍味という位置付けに過ぎなかった。海外の食文化が別の国に根付くかどうかは、それが現地の文化としてアレンジされるか否かだ。それがなくては、一部の金持ちや酔狂な人がたしなむ高級な、または珍奇な食事にとどまる。現在、ポテチ市場の最大シェアはカルビーが占めているが、日本でのポテチ定着に果たした湖池屋の存在はとても大きい。讃えて讃えて讃えまくって、それでも讃え足りないほどの功績なのである。

 

スポンサーリンク

 

 

湖池屋の工場直送便のうすしお味を食べる

そんな湖池屋のこだわりと矜持が詰まったのがプライドポテトシリーズなわけだが、オンライン限定で別のこだわりポテチを買うこともできる。

 

それが「湖池屋工場直送便」ポテチうすしお味だ。

 

shop.koikeya.co.jp

 

80グラム袋が6つ、生産日から3日以内に出荷される。出来たてポテチとして有名な菊水堂のポテチは近県であれば翌日には食べられるそうだから、それにはやや及ばないが、要するに出来たての新鮮ポテチを食べられるというわけ。

 

f:id:mtautumn:20180304151442j:plain

 

f:id:mtautumn:20180304151455j:plain

 

f:id:mtautumn:20180304151506j:plain

 

f:id:mtautumn:20180304151519j:plain

 

f:id:mtautumn:20180304151533j:plain

 

f:id:mtautumn:20180304151543j:plain

 

ポテチなんてスナック菓子なんだから鮮度なんてカンケーないでしょ?なんて言わないでほしい。湖池屋から比べて後発のカルビーがシェア逆転に成功した鍵の一つが鮮度であった。1970年代は、スナック菓子に鮮度という発想がなかったため、鮮度が高ければ油が酸化せず風味が保たれると考えたカルビーが作りたての商品を提供することにこだわり、その早い気づきがカルビー躍進を支えたのである*2

 

湖池屋カルビーの従来品が生産日からどれくらいの日数で出荷されるのか不勉強ゆえ知らないが、それだけ鮮度が重要であり、だからこそ菊水堂のポテチが注目を浴びたのであり、湖池屋もプレミア商品的に工場直送便を発売しているというわけである。

 

さて、長くなったが、食べてみよう。味はうすしおだが、トッピングとしてかつお節と九条ネギチップが同封されている。

 

袋を開けるとじゃがいもの甘い香りが部屋を覆う。菊水堂ほどではないが、それでもなかなかのじゃがいも感だ。この時点で、美味しいに違いないことを確信。高まる期待と頬が緩むのを抑えることができない。

 

まずもって口当たりが軽い。工場直送便と知っているから先入観からそう感じる部分があるのを否定しないが、それを考慮しても口当たりが軽い。油っぽさがないのだ。これが鮮度のなせるわざか。普段から湖池屋にしてもカルビーにしても、その他のポテチメーカーにしても酸化防止には多大な努力をしているはずである。それでもなお製造から流通過程を経て、消費者の手に渡るまでに一定の酸化は避けられないということか。

 

ポテチが「生鮮食品」というのはあながち誇張とは言えないようだ。新鮮な刺身を食べた時のような衝撃、ポテチストでありながらこのように言うのはヘンだとは思うが、ポテチで鮮度によって衝撃を受けるとは思わなかった。工場直送便を食べ慣れてしまうと、通常のポテチに帰れなくなってしまうかもしれない。舌をわがままにさせるデンジャラスなポテチなのである。

 

f:id:mtautumn:20180304151600j:plain

かつお節と九条ネギチップをかけるとこんな感じ。妻は高級な感じがすると言い、わたしはどん兵衛っぽくなったと思った。どちらの舌が正しいかは読者諸賢に試していただきたい。

 

ごちそうさま。次は何味を食べようか。

 

f:id:mtautumn:20180304151615j:plain

 ↑工場直送便の箱に入ってくれるかと期待したが入ってくれなかった。

 

 

スポンサーリンク

 

 

*1:佐藤章「これからは『第3の創業期』鍵は日本的な世界観の再提案」『Monthly BOSS』2017年12月号、10頁。

*2:「お化け商品の舞台裏 ポテチ1枚への執念」『日経ビジネス』2010年7月26日号、47頁。