フクハクのポテトハウスのポテチ、しお味と奇跡のスパイス味を食べる
九州ポテチメーカーの雄、フクハク
フクハクは、福岡県のポテチメーカーだ*1。こだわりポテチ特集があれば必ず名が挙がる、われわれポテチストの筋では有名な会社だが、私の住む東京で食べようと思うとお取り寄せが基本となる。
ポテチ製造を開始したのは1973年頃、その後ポテチ専門製造業者となった*2。
このブログをはじめる前にお取り寄せで食べたことはあったが、そうしょっちゅう食べられない貴重品である。それが先日、会社のそばのナチュラルローソンでしお味と奇跡のスパイス味を売っているのを発見し、あまりの驚きにその現実をしばし受け入れられなかったほどだが、迷うことなく両方の味を購入したのである。ナチュラルローソンでは同じくお取り寄せポテチとして名高い、菊水堂のポテチが売られており、ナチュラルローソンのナイスな仕事ぶりに敬意を表したい。
まずはしお味を食べる
見た目は厚切り。大手メーカーでも厚切りポテチは売られているが、フクハクのポテチはポテトチップスを厚切りにしたというよりも、じゃがいもを厚めにスライスして揚げたお菓子、という印象だ。サツマイモチップスに近いとも言えるし、異国風のポテチっぽいとも言える。
菊水堂もそうだが、パッケージが透明なのもフクハクのポテチの特徴である。われわれに早く食べよ、という無言の圧力をかけてくる。なぜなら、透明な袋は大手のよくある銀色のそれ(アルミ蒸着パッケージ)よりも、酸化が進みやすいからである。
酸化防止のためにフクハクもアルミ蒸着パッケージを導入した時期もあったものの、あまり好評ではなく、もとの透明なパッケージに戻したそう*3。酸化防止上の機能性を優先するならアルミ蒸着パッケージのほうが優れているのだろうが、フクハクの透明なパッケージは素朴さがあっていい。見た目的にもかわいい。
しお味は、塩とアミノ酸系調味料だ。味のパウダーが沈殿しているのか、底のほうのポテチによりアミノ酸系の味が感じられる。とはいえ、味付けはシンプルかつ素朴。そして、美味しい。
食べてみると、厚めのスライスとも相まって、大手のポテチとは違うオリジナルのスナック菓子のようである。幼少期にフクハクのポテチで育っていたならば、カルビーや湖池屋といった大手ポテチを食べたときに大いなる衝撃を感じることだろう。大手のポテチに都会的な洗練さを感じるかもしれないし、こんなパリパリじゃ食べた気しないと物足りなさを感じるかもしれない。何にせよ、ポテチのレパートリーとしてフクハクのポテチを日常的に選択できる福岡県民は幸せな人々である。
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続いて奇跡のスパイス味を食べる
しお味の次は奇跡のスパイス味の実食だ。
これは完全にお酒、というかビールのアテである。フライドチキンの粉をまぶしたような味、と言えばもっとも近いだろうか。個人的にポテチはB級グルメだと思っているが、奇跡のスパイス味は、B級ど直球の上品さをまったく狙わない潔い味である。内容量は100グラムとコンビニサイズよりも大きいくらいだが、パクパク食べ進んでしまう、危険なフレーバーなり。気分としては、ビアパブでビール片手にフライドチキンを食べているようである。
過去に食べた味の中では、香川県のご当地ポテチである骨付鳥風味がそれに近い。味といい、抜群のジャンキー感といい。
再び、ポテチストのバイブルと言うべきota25氏の『ジャガイモ学 日本ポテトチップス史』を参照すると、フクハクのポテチは、酒のつまみとして、主として博多の中洲の飲み屋屋台に出荷されたそうである(同書、46ページ)。「福岡県の独特の飲食文化がフクハクのポテトチップ初期を支えていた」とすれば、この奇跡のスパイス味は、まさしく酒のつまみという飲み屋文化が育んだ、フクハクのポテチの象徴と言える存在だ。
ポテチ製造のきっかけも福岡県内の米軍関係者からジャガイモを薄く揚げたお菓子があると聞きつけたから、ということだが、フライドチキンっぽい味はどこかアメリカナイズされた雰囲気を醸し出す。実際、アメリカでフライドチキンっぽい味のポテチにお目にかかったことはないのだが、日本人がイメージの中で連想するアメリカらしさと言ったらよいだろうか。
フクハクのポテチはやはり美味しい。
ごちそうさま。次は何味を食べようか。