カルビーのビーフ味の進化を見る&山芳のmikeバターしょうゆビーフ味を食べる
カルビーのポテリッチ、炙り和牛と塩味とグリルビーフ味を食べる
カルビーのポテリッチの炙り和牛と塩味とグリルビーフ味を食べた。
ポテリッチは意外にもそれほど濃い味ではない。和牛は仙台牛100%のビーフパウダー。ビーフ味はほんのりといった感じだが、ビーフ系ポテチに多い胡椒風味が効いた赤身肉ステーキ風よりはやや脂質多めのステーキ感はある(仙台牛ビーフパウダーによるプラシーボ効果??)。ビーフ感が控えめなのは、和牛という高級肉感を出すための演出かもしれない。
ここで食べ比べてみたのがカルビーが1980年代の復刻版として出している、グリルビーフ味である。カルビーがフレーバーの多角化を進めたのが1980年代半ばからだから、その流れに乗って登場したポテチなのだろう。
カルビー味の多様化の背景
1960年代初頭から日本人のカロリー摂取量が増加基調になるのだが、1972年に増加のピークを迎える。これは、食べ物の嗜好が量から質に移る転換点であった。それまでカルビーはポテチを量産することで売り上げを拡大してきたが、量産型がやがて行き詰まるようになる。それが1985年頃のことであり、この事態に直面したカルビーは、客の選択肢を拡大させるため、様々なフレーバーのポテチを投入する。豊かな時代になれば選択肢が多いほうが好まれるというわけで、フレーバーの多角化によりカルビーはポテチマーケットの拡大に成功したのである*1。
実際、グリルビーフ味のパッケージには1987年の味とパッケージを再現したと書いてある。ということは、やはりグリルビーフ味は、カルビーの味の多角化戦略の中で誕生したポテチなのだろう。
炙り和牛とグリルビーフの食べ比べ
で、ポテリッチとの食べ比べである。ポテリッチと通常のポテチとでは厚みが違うため単純な比較はできないが、たしかに食べ比べてみるとポテリッチに和牛を感じる。原材料は両者ほとんど同じ。オニオンパウダーかガーリックパウダーかどうか、ポテリッチにチキンパウダーが入っているくらいで、そのほかの大きな違いといえば、ポテリッチのビーフパウダーが仙台牛100%であることだ。パウダーになってしまえばブランド牛だろうが普通の肉牛だろうが、大きな違いはあるまいと予想していたが、実際には大きな違いが現れるのかもしれない。
名前 | ポテリッチ炙り和牛と塩味 | グリルビーフ | mike バターしょうゆビーフ |
メーカー | カルビー | カルビー | 山芳 |
原材料名 | じゃがいも | じゃがいも | 馬鈴薯 |
植物油 | 植物油 | 植物油脂 | |
砂糖 | 砂糖 | 粉末醤油 | |
食塩 | 食塩 | ぶどう糖 | |
コーンスターチ | デキストリン | 砂糖 | |
ビーフパウダー(仙台牛100%使用)(小麦・大豆・豚肉を含む) | ビーフパウダー(小麦・大豆・鶏肉・豚肉を含む) | 麦芽糖 | |
デキストリン | コーンスターチ | バターパウダー | |
酵母エキスパウダー | 粉末しょうゆ | 食塩 | |
たん白加水分解液 | 酵母エキスパウダー(乳成分を含む) | かつおぶしエキスパウダー(魚醤(魚介類)を含む) | |
ガーリックパウダー | オニオンパウダー | 酵母エキスパウダー | |
粉末しょうゆ | 調味動物油脂 | 昆布エキスパウダー(鶏肉・豚肉を含む) | |
こしょう | 香味油 | デキストリン | |
粉末植物油脂 | ジンジャーパウダー | ビーフエキスパウダー | |
チキンパウダー | 調味料(アミノ酸等) | 調味料(アミノ酸等) | |
乳等を主要原料とする食品/調味料(アミノ酸等) | 香料(ごまを含む) | 香料 | |
香料 | カラメル色素 | カラメル色素 | |
酸味料 | 酸味料 | ||
カラメル色素 | 香辛料抽出物 |
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味の違いをたとえるならば、復刻版のグリルビーフ味は、よく駄菓子で見かける「ポテトスナック」のステーキ味に近く、ポテリッチはスーパーで買った和牛を焼いて食べた味といったところだ。
1980年代はビーフ味を出すこと自体が新たな取り組みであったろう。やがてビーフ味は珍しいフレーバーではなくなり(山芳のわさビーフもあるし)、ビーフ系と一口に言っても、ビーフ+αなのか、和牛なのかといった、ビーフ系味の進化のビッグバンが起きているのである。
山芳のフリトレーコラボ、mikeバターしょうゆビーフ味を食べる
ビーフ系ポテチの代表格の「わさビーフ」が世に登場したのは奇しくもカルビーのグリルビーフ味が発売された1987年。わさビーフもポテチ業界の味の多様化の流れに乗って登場したポテチだったようだ。山芳の社長がこうした時代の流れを読んでわさビーフを開発したのか、それとも単なる偶然だったのかはよくわからないが、ポテチ業界の時代の流れを俯瞰してみると、わさビーフが発売されたのは絶妙なタイミングであったことがわかる。
というわけで、ついでながら、山芳のフリトレーとのコラボポテチも食べる。この商品はフリトレーのmikeポップコーンバターしょうゆを再現している。
フリトレーはアメリカのペプシコのお菓子ブランド。もともとは単独の企業だったが、ペプシコと合併して今に至る。ちなみにカルビーとペプシコも業務提携をしているが、にもかかわらず山芳とコラボ製品出してもOKのようだ。
山芳のバターしょうゆビーフ味は、ビーフ感よりはバターしょうゆ感が際立つ。私はポップコーンを食べていないのでオリジナルの再現度は判断できないものの、バターしょうゆってB級感ハンパないながらも、人に問答無用でうまいって言わせるパワーがあるように思う。バターしょうゆはB級グルメたるポテチとの相性抜群の最強タッグだ。味は読者諸賢みなさまが想像されるとおり。スナック菓子として模範的な美味しさであった。
ごちそうさま。次は何味を食べようか。
ちなみにグリルビーフと同じくカルビーが1980年代の復刻版として出したのが「エスニカン」。食べた感想はこちら。あわせてご参照ください。
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