コメ油で作られたノースカラーズの純国産ポテチを食べる
ノースカラーズの純国産ポテチを食べる
めしばな刑事タチバナ曰く、ポテチとは「イモと油と粉がおりなす食欲喚起の総合芸術」である*1。私も激しく同意である。
で、今回はポテチの三位一体の構成要素の一つである油にコメ油を使用したノースカラーズの純国産ポテトチップスうすしお味。油は国産のコメ油を使用という徹底ぶり。コメ油のポテチと言えば深川油脂工業だし、ノースカラーズという会社名は不勉強ながら聞いたことがなかった。販売者だから、OEMで別の会社が作っているのかな、と思いつつもこのノースカラーズ社は菓子の製造販売を生業にしているようだから、この会社が製造までやっている可能性がある。
会社概要 | 株式会社ノースカラーズ | ノースカラーズは、安全な北海道の美味しさをお届けするお菓子会社です。
ポテチはジャガイモをスライスして揚げるだけ、という単純極まりないお菓子ながら、原材料であるジャガイモの貯蔵管理が必要だったり商品として安定的に生産するのは存外大変であり、それゆえ日本にはポテチメーカーは10社もいない状況にある。ノースカラーズ社は2011年に第一弾商品として純国産ポテチを発売したそうだから、とすれば久々の新興勢力ということになる。OEMの可能性もあるが、ウェブ検索で見る限り現時点では確認できなかった。
コメ油で揚げると軽い仕上がりになると言う。実際食べてみると確かに軽い。
コメ油ポテチに思う
とはいえ、守旧派と呼ばれたとしても、まだ従来のポテチのほうがいいなぁ、と思ってしまう。
ノースカラーズは、安心安全な国産原料の普及と、食料自給率の向上を目指しています。
ノースカラーズの純国産シリーズは、化学調味料・人工甘味料・合成保存料・着色料・香料を一切使いません。原料の全てが国産の贅沢なシリーズです。
アブラヤシから採れるパーム油は、日本でも大量に使用されています。その結果、原産国ではプランテーションが拡大し、深刻な熱帯雨林の破壊に繋がっています。急激な環境の変化は、先住民族を苦しめ、ゾウやトラなどの野生生物の生息地を奪っています。
これらは、純国産ポテチのパッケージの裏側に記されているノースカラーズがコメ油でポテチを作る理念だ。この理念は素晴らしい。ただ、ポテチ愛好家とすれば、コメ油のポテチはやや物足りない。私とて健康や環境の大事さは理解するが、食べ物を評価するときの基準は、兎にも角にも「味」であり「美味しさ」であるべきだと思っている。理念で美味しさは補えない。
一部の意識高い人々を除けば、多くの人はいかに環境が大事でも美味しさに劣るポテチを食べたいとは思わない。ポテチストとて同様。
とすれば、理念で訴えるのもいいけれど、コメ油で重めの中毒性のあるポテチを作ってみるのもありではないだろうか。コメ油の軽さをアピールするよりも、コメ油でもこんなに中毒性のあるポテチを作れるんです、という方向性のほうがポテチストには受けると思うのだ。
実のところ私は別にコメ油ポテチを否定しているわけではない。私もそうだがポテチを食べる人の多くは、パーム油で揚げられているかどうかはさして気にしないだろう。パーム油に優位性があるとすれば、それはコメ油やアボカドオイルで揚げられているポテチよりも美味しいと感じているからだ。そして、その美味しさは油の重さと中毒性にあると思う。
なので、もしパーム油の使用を問題視しているのであれば、コメ油で軽さや健康、自然保護を訴えるよりも、パーム油で揚げたのと同レベルの再現性があったほうがいいのではないか。そのほうがパーム油のポテチからコメ油のポテチに乗り換えるポテチストが増えるように私は思うのである。
ごちそうさま。次は何味を食べようか。
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*1:坂戸佐兵衛(原作)・旅井とり(作画)「ポテトチップス紛争(その1〜4)」『めしばな刑事 タチバナ』第6巻(Kindle版)、174頁。