ポテチ猫

ポテチのネタを中心としたブログです。

湖池屋のSTRONG鬼コンソメ味を食べる

  

僕たちがポテチに求めるもの(特にコンソメに)

めしばな刑事タチバナ』という漫画がある。テレビ東京系で佐藤二朗主演でドラマ化もされている。主人公の刑事「タチバナ」が、グルメについてうんちくを披瀝するという漫画であり、Wikipediaによると2020年12月時点でシリーズ累計発行部数は200万部を突破しているそうだ*1

 

その第6巻に「ポテトチップス紛争」という回があり、婦警がカルビー派か湖池屋派かを争っているところに、40年近くポテチを積極的に食べてきて「悟り」に近いものが見え始めたと語る主人公の刑事タチバナがポテチについて熱く語り出す。ポテチに関するいろんな情報が盛り込まれていてとても面白いのだが、特に僕が感銘を受けたのがタチバナのポテチ評である。彼はポテチを「イモと油と粉がおりなす食欲喚起の総合芸術」だと言う。まさしく本当にそのとおりだと思う。これほど素晴らしく的確にポテチを表現した言葉は他にない。

 

 

だから、ポテチにはしっかりと「粉」がついていてほしい。特にコンソメには。なぜならコンソメに薄味を期待していないからだ。1978年にコンソメ味を発売したとき、カルビーは商品名を「コンソメパンチ」にした。「パンチ(がきいている)」とは当時の流行語で、元気がよいとか勢いがあるという意味であり、ネーミングの良さもあいまってコンソメパンチは爆発的なヒットを記録した。もしかしたら流行りの言葉に乗っかっただけかもしれない。でも、それがただの直感だったにせよ、綿密なマーケティングの結果だったにせよ、コンソメに「パンチ」という言葉を当てたのはまったくもって正当だったと思う。コンソメ味ってそういう勢いというか、濃い味を食べたいときにこそ食べるフレーバーだと思うんだよね。コンソメ味が薄味だったら僕は物足りないと感じてしまう。

 

そこらへんは湖池屋も身にしみてわかっているはずである。というのは、2017年に発売を開始した「プライドポテト」シリーズでコンソメ味は濃いほうがいいという教訓を学んでいるからだ。2017年2月に「秘伝濃厚のり塩」、「松茸香る極みだし塩」、「魅惑の炙り和牛」の三種類でシリーズが始まったプライドポテトシリーズ。売り上げ予測をあっという間に超える大ヒットになり上々のスタートダッシュを決めたのだが、2017年のポテチショック(2016年のジャガイモ不作により2017年にポテチの一部生産停止や生産減に追い込まれたこと)もあり、生産を復旧させ新商品を投下しても当初の勢いは完全に失われてしまう。失速の要因は生産減や品切れだけではなく、商品自体が消費者の嗜好とマッチしなかったこともある。

 

そのミスマッチを象徴するものとして、プライドポテトシリーズでもコンソメ系のフレーバーが発売されるのだが、こだわりの方向性が消費者の求める方向とずれていたことがある。湖池屋は、コンソメ無添加にするためにかなりの企業努力を重ねたのだが、コンソメ好きにとって無添加は魅力ではなかったのである。ということで、現在のプライドポテトでは、これでもかというくらいコンソメをふりかけているそうだ。

 

diamond.jp

 

そう、僕たちはポテチに「粉」を求めているのだ。特にコンソメ味では。

 

STRONG鬼コンソメ味を食べる

さて、鬼コンソメ味の実食だ。

 

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厚切りギザギザタイプである。食感はサクッとしている。鬼コンソメというネーミングのパンチ力ゆえ、なんとなくハードな堅めを予想していたが、意外や意外サクッとした軽い食感である。むしろサクッと系の中でも優しいくらい。バキバキのハード系のほうがネーミングには合いそうだが、それだと堅さに意識が向いてしまいせっかくの強烈コンソメフレーバーへの集中が逸らされると考えたのかもしれない。

 

フレーバーはなるほど確かに強い。特に粉がしっかりついた一片はもはやコンソメを通り越して別のフレーバーである。いい。パンチがある。パンチ力では本家コンソメパンチをノックアウトだ。

 

最近でこそ湖池屋はプライドポテトシリーズが象徴するようにこだわり上品路線をひた走っているが、のり塩やカラムーチョを世に送り出すなどストロングな変わり種を発明する独創性を血脈とするポテチメーカーでもある。これはその血脈がしっかりと受け継がれていることを示している。プライドポテトもいいけれど、それではちょっと物足りないときもある。鬼コンソメを食べると、やっぱりポテチという総合芸術には「粉」が欠かせないんだよな、と再認識させられる。