ポテチ猫

ポテチのネタを中心としたブログです。

深川油脂工業の無添加うすしお味を食べる

 

 

私の無添加に対する逆こだわり

あらかじめ言明しておきたいことがある。それは、私は食べ物に対して健康やオーガニック、化学調味料食品添加物の不使用といったことを求めていない、ということである。私にとっての食べ物の評価基準は、唯一私の舌がそれを美味しいと感じるか否か。だから、仮にその食べ物がとても健康によかったとしても、私が美味しくない、と感じたらその食べ物は私にとって「悪」だし、昨今嫌われ者の化学調味料が入っていたとしても、それによって私が美味しく感じられるのであれば、その食べ物は「善」なのである。

 

もちろん私だって健康は気にする。いや、ポテチを愛好する者、ポテチストだからこそ、健康を気にするといえようか。自明の理であるが、健康でなければポテチは食べられない。不健康になったときに真っ先に食べてはならないものリストに掲載されるのは、ポテチを筆頭とするスナック菓子である。

 

それに私が勝手に感じている使命感がある。

 

すなわち、ポテチは不健康かつ不必要な食べ物だと思われている、不健康かつ不必要なものを食べるのは理性が快楽に敗北するだらしない人間である、という先入観を打破する人間でありたいのだ。

私は30代後半だが、痩せ型で人間ドックも優良な結果を叩き出している。ご飯は毎日朝昼晩三食食べる。どれもこれもポテチを愛するがゆえの努力、というわけではさすがにないが、それでも健康であることは私がポテチを楽しむ上で欠かせない要素には違いない。

 

さらに言えば私がだらしのない人間だと、やっぱりポテチなんざ所詮二流の人間が食べるものなのさ、と私が愛好するポテチがとばっちりで風評被害を被ってしまうのではないか、と危惧しているのである。私は自分を一流の人間だと言うつもりはさらさらないが、見た目は小綺麗にしている(しかし、オフィスの私のデスクはお世辞にも綺麗とはいえないが)。それもこれもポテチを愛するがゆえ、ではやっぱりないのだが、見た目の小綺麗さは何かしら自分の人生にプラスの恩恵をもたらしていることだろう。

 

もっとも実際にそうした風評被害につながるような非難を受けたことはないし、今後もあまり受けそうにないので、これは完全に私の独り相撲であることは重々承知している。

 

最近は、食品添加物などが無添加のポテチも少なくない。しかし、私は無添加だから素晴らしい、と評価することはない。無添加だから(なのに)美味しいとか、その要素が美味しさに貢献して、はじめて私は無添加を評価する。

 

深川油脂工業株式会社

何の前触れもなくなぜ滔々と健康やら無添加やらについて熱く語ったのかといえば、今回食べたのが深川油脂工業株式会社(以下、深川油脂工業)のポテチだからである。同社のポテチは化学調味料・保存料不使用。

 

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深川油脂工業は、1941年に創業、米ぬかから搾油する事業を行っていた。本社所在地は、会社名が示すとおり深川であるが、深川めしで有名な東京の深川ではなく、北海道の深川市である。1971年にポテチ工場を落成、ポテチ市場に参入する。このポテチ市場参入が同社の食品加工事業のはじまりで、その後ポップコーン製造にも手を広げている。

 

なぜ食品加工事業としてポテチを選んだのか。

 

同社のウェブサイトによると、コメ油を使ってできることはないかと模索していたところ、当時の取引先からポテチ製造の提案を受けたことが契機となった。深川油脂工業のポテチは、「くまちゃんポテトチップス」のブランド名で販売されているが、これは北海道の企業なのでそれらしい愛称を付けたいという思いから生まれたものである。

 

kumachan.co.jp

 

こめ油の搾油事業として誕生した企業だけあって、深川油脂工業は、油に対する思いが強い。通常はパーム油を使用しているものの、期間限定でこめ油でポテチを製造している。

 

同社の社長曰く、こめ油は素材の味を引き出す特徴を持つとされ、ポテチ製造に際しては、原料であるジャガイモの味を大切にすることに配慮している(ota25(著)、大谷さん(編)『ジャガイモ学 日本ポテトチップス史』大谷号、2016年、39頁)。特にこめ油はポテチの大敵である酸化に強いという特徴を持つ。そのため、他社でもこめ油を配合した植物油を使ってポテチ製造をしており、こめ油を使用すること自体はさほど珍しくはないが、こめ油100%にこだわるのは深川油脂工業ならではこだわりといえるだろう。

 

実食

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味付けは塩のみ、というシンプルイズベストのうすしお味。厚さは馴染みのカルビー湖池屋で例えれば、厚さ薄めのカルビーに近い感じか。だから、 食感は軽く、口に入れるとパリッと小気味よく砕かれていく。シンプルだからこそジャガイモの風味がわかる。

これはパクパクいけてしまう。袋の中に手を突っ込む速度が衰えない。味付けの濃さは標準的か。菊水堂のような薄味ではない。今週の東京は暑かったから、適度な塩気がさらにポテチ食欲を刺激する。

 

化学調味料や保存料不使用が味や食感にどのような影響を与えるのか正直わたしはよくわからないのだが、もし、ジャガイモの風味や軽い食感につながっているとすれば、なるほど化学調味料・保存料不使用というのもなかなか悪くない。カルビー湖池屋のポテチも大好きだけど、化学調味料や保存料を使わないことにこだわる会社があってもいい。ダイバーシティ万歳だ。

 

それに、考えようによっては、この深川油脂工業のうすしおポテチが日本で食べられる最も王道のうすしおポテチであるように思う。

カルビー湖池屋は品質の安定のために意図的に旨味系調味料を使って味付けする。お取り寄せポテチの代表格、菊水堂のポテチはやや塩分が控えめでジャガイモの風味を際立たせる。九州の雄フクハクはかなり厚めの食べ応えのあるポテチ。とすると、厚さが薄く塩のみで味付けする深川油脂工業の無添加ポテチは、案外最もベーシックなポテチらしいポテチのような気がするのだ。

 

結局、化学調味料・保存料不使用のポテチも美味しい、そういう平凡だが深遠なる結論に到達したのであった。

 

ごちそうさま。次は何味を食べようか。 

 

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