ポテチ猫

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カルビーの堅あげポテト関西だししょうゆ味を食べる

 

関西だししょうゆ味はこれまでも普通のフラットタイプで発売されてきた。うまみ感の強いこのフレーバーが僕は大好きだ。

 

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カルビー曰く、関西のダシとは「ふんわり豊かなかつおの風味と、まろやかな昆布の旨みの深い味わい」である。

 

関西のお出汁と関東のお出汁

関東と関西とでは出汁の引き方が異なり、関東は濃い味、関西は薄味だと言われる。鰹節専門店のにんべんによると、鰹節一つをとっても関東と関西とでは違いあるそうだ*1

 

同じかつお節でも関西と関東では違います。関西ではカビつけをしないかつおの荒節が好まれました。荒節は、焙煎の香りが残ってスッキリとした香りと酸味が特徴です。一方関東では、江戸の中期頃からカビつけした枯節が好まれるようになりました。枯節は甘味があって、上品な香りが特徴。よりまろやかな味わいが楽しめます。同じかつお節であっても、関西と関東では味わいに違いがあります。

 

僕の両親は香川県出身で、香川県は関西圏ではないのだが、薄味文化圏という点では共通している。香川のご当地B級グルメ「さぬきうどん」はいりこ(煮干し)で出汁をとる。僕は横浜育ちで東京での暮らしも長く、味覚的には関東派であっても不思議はないはずが、どうにもうどんだけは濃い味で食べようとは思わない。両親から受け継いだ讃岐のDNAの影響だと僕は勝手に解釈してる。両親から讃岐のDNAを受け継いだ僕は讃岐うどんを名乗る店がちゃんといりこでダシを取ってるか、着丼したときいりこの香りがふわって立ち上るかにかなりこだわっている。毎回いりこいりこと呪文のように繰り返す姿をかみさんはいぶかしく思っていたわけだが、実際いりこが効いた讃岐うどんを食べて以降は何となく僕の意見に賛同してくれているように思う。

 

僕は丸亀製麺が好きではない

いりこのお出汁にこだわる僕としてはどうにも丸亀製麺は好きになれない。なぜなら丸亀製麺のお出汁のベースは鰹節だからであり、かつ丸亀製麺はそれを隠そうとするからである。

丸亀製麺はうどんチェーン最大手。ただ、2017年後半から客足が伸び悩んでいたそうだ。そこで、USJを再生させたスーパーマーケターの森岡毅氏が率いるマーケティング集団「刀」と契約し、業績の回復を目指した。氏がやったのが丸亀製麺ブランディングを強化し、こだわりを消費者に知ってもらうこと*2

そしてCMで店内で粉から製麺していることや、鰹節で引いたお出汁をアピールした。ただ、希代の軍師も讃岐うどんとして鰹節を前面に出したのはまずいと気づいたか、今では出汁も店内で丁寧に引いていることだけがアピールされている*3。ウェブページにある出汁食材の画像は、イメージ画像なのか、それともお店で使っている食材なのかはよくわからず、店で使っているとしても鰹節は後景に退いている。

現在の丸亀製麺のウェブサイトでは出汁と鰹節を結びつけるページを見つけることはできなかったが、2015年に「手火山(てびやま)式の本枯節とアゴを使っているとPRしていた情報を発見した。

 

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www.foods-ch.com

 

僕は丸亀製麺のうどんがマズイと言っているわけではない。いや、むしろあの値段であれだけのクオリティのものが食べられたら文句はない。だけど、いや、だからと言うべきか、単に讃岐うどんだと言って欲しくないだけのことである。企業側としては讃岐うどんのブランド力にあやかりたかったのだとは思うが、讃岐うどんを名乗っていなければ僕も安くて美味しいうどんが食べられるお店として丸亀製麺を多用しただろう。わざわざ讃岐うどんのブランド力を借りずとも十分勝負できるクオリティだとは思うが、知名度が低い段階ではいかに美味しくてもお客さんに気づいてもらえないので、企業側が成長する戦術として讃岐うどんのブランド力を借りようとすること自体は納得はできる。

 

しかし、あくまで個人の嗜好として讃岐うどんを愛する僕的にはこだわりポイントとして鰹節を前面に押し出すのは微妙な感じを否めないし、鰹節で出汁を引いていることを隠すのもなんかコソコソしているようで好きになれない。小麦粉にこだわり店内で製麺するのは正直すごい。かなりの企業努力があったはずだ。だから、小麦粉や店内製麺をアピールすること自体が問題ないのではない。だけど、讃岐うどんを愛する者にとって、出汁は最も重要な要素なのだ。そこがあやふやなのは、ウソをついているわけではないにせよ、讃岐うどんを名乗る店としては不誠実であろう。

 

讃岐うどんといってもガチガチの定義があるわけではなく、鰹節でだしを引くお店もある(僕は鰹節ダシのお店に行ったことはないが、香川在住の叔父はそう言っていた)。そんなわけで、そこまでめくじらを立てる必要はないのだが、とはいえ違和感は残る。うどんは麺料理であり、麺へのこだわりは大切。しかし、そこまで素材や出来立てにこだわりをアピールしておきながら、出汁に使う食材へのこだわりに何も言及しないのは不自然すぎるわけである。

 

ラーメン屋が麺へのこだわりばかりを口にして、スープについて一切口にしないとしたら、「あれ?」と思う人も多かろう。森岡氏と契約して以来丸亀製麺は業績を回復。ダイヤモンドなど主要経済誌が彼と丸亀製麺でのマーケティング手法をフィーチャーしていて、森岡氏も秘訣として素材やこだわりをアピールしたと答えている。で、例として挙げられるのはやはり国産小麦と店内製麺の話だけで、頑ななまでに出汁の食材には触れない。

 

森岡氏はUSJを救った凄腕マーケターであり、彼を特集したプロフェッショナルの回は僕が好きな回の一つだ。たしかにウソはついてない。CMだから企業側がアピールしたいことを選べばいい。そもそも讃岐うどんなのに鰹節を使っていること、そしてそれを敢えて公言しないことが不誠実なことかどうかさえ実のところよくわからない。が、讃岐うどんを愛する僕からすると、丸亀製麺讃岐うどんという誤解されたイメージが広まるのはなんかイヤだし、讃岐うどんのブランド力や名声を丸亀製麺が不当に毀損させているような気がしてしまうのだ。

 

僕が丸亀製麺が好きでないもう一つの理由

ついでに僕が丸亀製麺が嫌いな理由をもう一つ。コロナのせいですっかり海外出張はご無沙汰だが、ロサンゼルスのリトルトーキョーには「丸亀もんぞう(Marugame Monzo)」という人気のうどん店があって、ロスに行ったときは必ず訪れた(と言うと何度もロスに出張し、現地を知り尽くしているような印象を与えるが、実際に行ったのは3回くらい)。

 

marugamemonzola.com

 

イメージとしては洋麺屋五右衛門のうどんバージョンのようなもので、カルボナーラうどんとかが食べられる。ここも丸亀の名を冠しながらまったく讃岐うどんではないが、もんぞうの主人は香川県の人気店で修行を積んでおり、その意味で丸亀を冠したとておかしなことは何もない。アメリカで美味しいうどんが食べられるのは本当にありがたいことである。

 

丸亀製麺と何の関係があるの?というところであるが、丸亀製麺は(たぶん2013年に)丸亀もんぞうに対して「店名に丸亀を使うな」、「一ヶ月以内に看板を外せ」と圧力をかけた、という経緯がある。知的財産権法上、丸亀もんぞうが丸亀の地名を使ったことも、丸亀製麺がそうした要求をしたことも違法ではないのだが、讃岐うどん派からすれば丸亀と縁も所縁もなく、そもそも王道の讃岐うどんを提供せずに讃岐うどんのブランドイメージをちゃっかり利用している丸亀製麺への印象は悪い。実際、丸亀製麺に対してそうした批判はあったようで丸亀製麺は訴えを取り下げている。そんなわけで、僕がアメリカで感じた日本食ロスを救ってくれた丸亀もんぞうに不当な圧力をかけた企業という点でも僕は丸亀製麺が嫌いなのである。

 

www.excite.co.jp

 

で、関西だししょうゆ味のお味は?

僕は丸亀製麺への不満を書きたかったのではない。関西だしってそもそも何?ということを書きたかったのだ。それが、なぜか僕の愛する讃岐うどんの話に逸れ、それがさらに丸亀製麺への憤りを思い出させ、話が全然違う方向に進んでしまったのだ。

で、肝心の関西だししょうゆのお味だが、とても美味である。普通のフラットタイプでも好きな味でよく食べていた。だから、それが堅あげポテトになればマズイはずはなく、出汁風味が効いた安定の美味しさに僕は舌鼓を打ったのである。関東だろうが関西だろうがやっぱり出汁の味って美味しいよね。