ポテチ猫

ポテチのネタを中心としたブログです。

アメリカで日系ポテチを食べ、馬鈴薯論争を知る

 

 

KoikeyaのカラムーチョHot Chili with Seaweedを食べる

ロサンゼルスに出張で来たところ、泊まった場所はリトルトーキョーのほど近く。というわけで、日本製品を多く取り扱ったスーパーが近所にあったりする。

そこで見つけたのが、湖池屋のカラムーチョ、Hot Chili with Seaweed味。トウガラシ海苔味といったところか。日本製ではなく、台湾の湖池屋が流通させていて、それをロスの商社が輸入した商品。道理で日本では見たことない味のはずだ。

 

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実食してみると、まったくと言っていいほど辛味成分がない。全然辛くないのだ。カラムーチョが辛いに引っ掛けられているとは非日本語圏の人にはわかるまいが、トウガラシの絵も描かれているわけで、ちょっと看板(というか包装)に偽りありではないか??

 

むしろ甘いくらいか。私の舌がおかしいだけかもしれないが、味醂干しを食べたときのようなほんのりとした甘さを感じる。もともと台湾で製造されていたから、じゃあ台湾の人が辛さがまったくダメでわずかな辛味成分が入っているだけでも辛い!と感じるって話も聞いたことはない。何をどうしてこの商品をhot chiliとしたのか、ナゾは深まるばかりである。

 

アメリカで買ったカルビーののりしお味を食べる

で、次は別の日本食が手に入るスーパーで買ったカルビーののりしお味である。英語名はSeaweed & salt potato chips。量は200グラム。日本でもクリスマスのようなパーティーシーズンであれば特大サイズを売っているが、日常的にこのサイズが買えるのはさすがアメリカ。

 

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↑のりしお味をカルピスとともに。海外ではカルピスではなくてカルピコと変更されている。カルピスは「カウピス」(牛のおしっこ)みたいに聞こえるからというのは有名な話。

 

最初はサイズに惹かれて買ったこののりしお味だが、いざ食べてみると日本のそれと味が違う。

 

パッケージには日本語が書かれているが、製造は香港のようだ。であれば、日本語は不要そうだが、敢えて日本由来であることを示すために日本語を記したのかもしれない。途上国では中古日本車が使用されていて、そこでは敢えて塗装を日本で使われていたままにしていることが多い。現地の人は日本語の意味はわからなくても、それが記号として日本語であることは認識できる。そして、日本語が書かれていることが、日本製であるとの証明になるのだ。

ここ数年行っていないからわからないが、以前ミャンマーに行ったときは私が育った横浜でよく利用していた神奈川中央交通のバスが塗装そのままにヤンゴンの街を走っているのを見かけたものである。

 

で、味の話に戻ると、原材料名にsugar、すなわち砂糖が入っていた。日本ののりしおポテチには砂糖は入っていない。砂糖のありなしは大きな違いだ。どうりですぐに味が違うとわかったはずである。味覚というのは保守的なもので、私には砂糖入りのりしお味はなじめない。味自体がまずいわけではないのだが、のりしお味かと言われれば明らかに違うと言わざるを得ない。ホットチリ味同様、どこか味醂干しっぽいというか。

 

海外の人にとっては砂糖入りのほうが美味しく感じるのだろうか?

 

じゃがいもと馬鈴薯

さて、アメリカとは何ら関係がないのだが、日本のポテチの原材料名で、じゃがいもは、じゃがいもと馬鈴薯のふた通りの表記があることに読者諸賢も気づかれるはずだ。要はどちらでもいいということなのだろうが、下記の本で意外に奥深い話であることを知った。

 

ジャガイモのきた道―文明・飢饉・戦争 (岩波新書)

ジャガイモのきた道―文明・飢饉・戦争 (岩波新書)

 

同書によると江戸時代よりじゃがいも(当時はじゃがいもではなく、ジャガタライモと呼ばれていた)の意味で馬鈴薯という呼称が使われているわけだが、これは当時の本草学者である小野蘭山なる人物がジャガタライモを馬鈴薯と同定したことに遡る。しかし、他の蘭学者などがこの説に反対、馬鈴薯は黄独(けいも。ヤマノイモ科のニカガシュウのこと)であると主張したのである。

で、どうやら少なくともこの本が出版された2008年当時にこの論争は解決されていなかったようなのだ。それゆえ、現在でもじゃがいもと馬鈴薯は並行して使用されているということらしい(同上書、125-127頁)。素人の私からすればじゃがいも=馬鈴薯で十分なのだが、呼び名が並存している背景にはそういった事情があるのである。確かに他の野菜だとこうした並存関係は珍しいと思う。日本語か外国語かという並存はありえるだろうが、日本語同士で、しかも方言ではなくここまで広く二つの呼称が並行して流通することはあまりないだろうから、人に話したくなるトリビアの一つとも言えそうだ。

 

ごちそうさま。次は何味を食べようか。

 

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