幻のじゃがいもの話&グランカルビーを食べる
一日一個のりんごで医者いらず(ことわざ。毎日りんごを食べると健康にいいという意味)
希少じゃがいも「今金男しゃく」と湖池屋のタッグ
以前書いたことがあるが、ポテチに使用されるじゃがいもは主にトヨシロ、スノーデン、きたひめであり、とりわけトヨシロがよく使われる。
これらの品種は、ぐぼみが少なくと皮がむきやすい、油で揚げたときに焦げにくい、水分が少ないので薄くスライスがしやすいという特徴を持っている。だから、ポテチに向いているのである。
しかし、企業の商品開発への情熱はすさまじく、差別化のためにあえて希少なじゃがいもでのポテチ作りに挑戦することだってある。
最近の湖池屋は高級・こだわり路線に舵を切っているが、プライドポテトシリーズの一つ「今金男しゃく 幻の芋とオホーツクの塩」で使われている、今金男しゃくは、じゃがいもの町として知られる北海道今金町でしか生産されていない希少なじゃがいもだ。
日本農業新聞によると、今金男しゃくは、「でんぷん質が多く、甘くてほくほくした食感が楽しめる。土壌が肥えた今金町だからこそ栽培できる、ジャガイモのトップブランドの一つだ。町内では原種から種芋、食用芋まで一貫した栽培にこだわ」っているじゃがいもで、ただ、栽培に手間がかかるので、生産量が限られるとのこと(「コラボで伸ばせ希少食材」『日本農業新聞』2018年1月1日)。
生産量が限られるから、生鮮は東日本でしか流通しておらず、それゆえ東海以西の消費者にはなじみがない。販路を広げたいと思っていたところ、希少性が売りになると見込む湖池屋が商談を持ち込み、両者の利益が一致、今金男しゃくを使ったこだわりポテチが誕生したというわけだ。
win-winの新商品開発なわけだが、湖池屋もJA今金も利他的だったわけではなく、己の利益の最大化を図った結果としてのこだわりポテチ誕生というわけで、資本主義バンザイ、神の見えざる手バンザイである。資本主義は完璧な経済体制と言うつもりはないが、神の見えざる手は不器用ながらもしっかりとわれわれに恩恵をもたらしてくれる。
「今金男しゃく 幻の芋とオホーツクの塩」は全国のコンビニやスーパーで購入できるが、当初はインターネットでの限定販売であり、いまでもオンラインショップ限定の今金男しゃく使用のポテチがある。残念ながら2018年1月2日現在では「完売御礼」となっている。今年も作られるかもしれないので、ポテチストは要チェックである。
幻のじゃがいもで作る『特別なポテトチップス のり塩 今金男しゃく』販売予約|おやつを買うなら湖池屋オンランショップ
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グランカルビーを食べる
話の流れからすれば、ここは湖池屋のポテチを紹介するべきなのだろう。しかし、いま手元にあるのは、湖池屋の永遠ライバル、カルビーのグランカルビーのポテチだ。こだわりポテチという点では、湖池屋の今金男しゃくポテチに引けを取るものではない。
ポテチ界の両巨頭がポテチ開発にしのぎを削ってくれるからこそ、われわれは美味しいポテチを食べることができる。両巨頭の戦いは価格150円前後のスーパー・コンビニポテチだけでなく、こだわりポテチの世界まで及ぶ。死闘と形容するに相応しいがっぷり四つの戦いは私のような凡人にとてもついていけるレベルのものではなく、ドラゴンボール世代ならわかる例えだろうが、天下一武道会の悟空たちのスピードについていけず、「見えない」とつぶやく観客の一人に私は成り下がるのだ。
と、こだわりつながりということで無理やりに話をグランカルビーに移そう。
バーニャカウダ味は先日紹介したので、今日は残りの、濃厚バター、チーズ、しお、塩キャラメル、焼き林檎だ。私が購入したのは2017年の11月であり、現在のグランカルビーのラインナップは変わっている。
統計的には我が日本は戦後二番目の長さの好景気の只中にいるようだが、一介の会社員である私にその恩恵が及ぶことはなく、バブルのような熱狂はもう訪れないのだろうと半ば達観する日々を過ごすばかりだが、ことポテチの世界ではバブル期にさえなかった高級ポテチが世に出回っている。
グランカルビーの特色はポテチの厚みだ。面積的には普通のポテチより小さいが、厚みは薄めのせんべいくらいあるだろうか。厚みがあることで、よりじゃがいもの風味を楽しめるのだ。今金男しゃくポテチをこの厚みで食べてみたい、とふと思う。ここで、一つ一つの私の個人的感想を述べよう。
しお味
ロレーヌ産の岩塩を使っているというしお味。フランス北東部のロレーヌ地方で産出される岩塩は、まろやかな味わい。その岩塩を使っているからなのだろう、塩感はありながらもビリビリするようなしょっぱさではない。アミノ酸調味料が使用されている点で添加物を入れないしお味ポテチとはやや方向性が異なるかもしれないが、添加物フリーのしお味ポテチに物足りなさを感じることがないわけではないので、その意味ではグランカルビーは美味しさを優先したといえそうである。個人的にはこのグランカルビーしお味はなかなかの出来だと思うので、正月用に140グラムのビッグサイズを発売してほしかった。
濃厚バター味
バター味を謳っているが、原材料名を見るとしょうゆパウダーも入っている。バターだけだと物足りないのか、それとも日本人にとってバター味は醤油と切っても切り離せないのか、はたまたバター醤油味だと安っぽくてグランカルビーにそぐわないと判断されたのか、そこらへんの内部事情は知る由もない。バターにもこだわりがあるのかもしれないが、私の鈍い味覚感知能力では、そこまで感じ取ることはできなかった。北海道産バターが使われているようだが、日本のバター輸入量は少ないし、生産量の8割以上が北海道だから、こだわりポイントは使用するバターの種類ではなく、量なのかもしれない。
事実、本製品にはバターパウダーが製品中0.3%含まれていると謳われている。通常のバター味系ポテチではもっと使用量が少ないということなのだろう。少ないなーと思う反面、それだけの量でも十分味がするのだから、むしろ山椒は小粒でもぴりりと辛いといったところか。
チーズ味
これまた通常のチーズ味との差はわかりづらいが、クリームチーズパウダーが入っているためか、ほんのり酸味を感じられた。
塩キャラメル味
袋を開けた瞬間にキャラメルの香りが広がる。味は映画館で売られているキャラメル味ポップコーンを彷彿とさせる。
焼き林檎味
前回紹介したバーニャカウダ味を含めて、今回の6つの味の中で出色の出来栄えだったのが、この焼き林檎味だ。りんごはフランス語で「pomme de terre」(大地のりんご)というが、地上のりんごと大地のりんごが見事なハーモニーを奏でている。わずかに含まれる食塩がりんごの甘さを引き立てる。定番のしお味は安定のうまさを発揮しているが、普段食べられない焼き林檎味は意外性と完成度を兼ね備えていて、グランカルビーシリーズのスタメンとして固定してほしい。
なんでこんな珠玉の組み合わせが今までなかったんだー、と私は一人吠えたのだが、それは単なる私の不勉強であり、実は湖池屋が2016年にすでにりんご味を市場に投入していたのだった。京橋千疋屋「非公認」とわざわざ明記するあたりも面白いが、それ以上につっこむべきところは、湖池屋が「活況を呈する朝食マーケットに対応する新商品」としてりんご味を開発したというところ。
アメリカでは付け合わせとしてポテチが添えられていることもあるから、別に朝食としてポテチを食べることがあながち不自然なわけではないが、日本ではあくまでおやつという位置付け。ポテチが主食って、そんなことあるわけないやんか、と思ったが、そういえばむかしむかしタレントの千秋がお菓子が主食って言ってたっけ。それにグランカルビーは60グラムで580円もするから、毎朝グランカルビーの焼き林檎味をブレックファーストに食べてまーすと言えば、さりげないセレブアピールとしても使えるのだ。
最後のほうは力尽きてやや味の紹介が雑になったが、ポテチの無限の可能性を感じられる一箱であった。
ごちそうさま。2018年もポテチをたくさん食べよう。
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グランカルビーのバーニャカウダ味を食べる
時は来た!(橋本真也)
グランカルビーのバーニャカウダ味を食べる
さて、今回はグランカルビーのバーニャカウダ味である。全6種類セットをオンラインで購入、しお味、チーズ味、焼き林檎味、濃厚バター味、バーニャカウダ味、塩キャラメル味というラインナップであった。実際に購入したのは1ヶ月程度前で、そのため現在(2017年12月24日時点)は、異なる味のようである。
期間限定で東京などでも販売しているようだが、実店舗があるのは基本的に大阪の阪急うめだ本店で、それ以外の地域でこれを食べようと思えばオンラインで注文するしかない。
世の中はクリスマスモード。12月は仕事がやや忙しかったし、自分へのご褒美も兼ねてグランカルビーをついに開封したというわけ。
時は来た!なのだ。
甘いものよりは塩気のあるものが食べたく、かといって私が一番好きな味であるしお味は取って置きたい気もして、まず手をつけたのがバーニャカウダ味。
ところで、グランカルビーのこだわりとは何か、カルビーのウェブサイトから引用しよう。
旨さのひみつ。
素材
じゃがいもはカルビーの原点。
契約農家の方々と共に、土づくりからとことんこだわりました。毎日の手入れを欠かさず、まさに手塩にかけて育てた、愛情溢れた特別な素材。ひとつ上ゆく「GRAND」の名にふさわしい素材と言えます。
カット
季節ごとに食感を変えてきたグランカルビー。その食感は素材のカット方法に由来します。この限定「ポテトクリスプ」はカルビー史上最厚!
じゃがいもを深く厚く大胆にVカットし、時間をかけてじっくりフライしました。
噛みしめるたびに拡がる旨みと風味、ざっくりとした食感をお楽しみください。
グランカルビーとは - グランカルビー | カルビー株式会社
一つ一つのポテチのサイズは小ぶりで、厚さはかなり厚切り。「ポテトクリスプ」はカルビー史上最厚!、というだけはある。そのため、食感はざくりざくりと噛み締める感じになる。
バーニャカウダー味はかなり濃厚。一口目からややしょっぱめのバーニャカウダーソースの味がする。パウダーのかかり具合がかなり盛大である。惜しみなくパウダーを使っているあたりもグランの名にふさわしい。このバーニャカウダ感は、魚醤パウダー、ガーリックパウダー、アンチョビパウダー、バジルパウダー、オリーブオイル、チーズパウダーによって奏でられているのだろう。
強烈なバーニャカウダ感によってはじめはややかき消されているのだが、噛み締めていくうちにパウダーが口の中で溶けていき、じゃがいもの存在感が増していく。唾液とポテチが混ざり合い、ポテチが水分を含んでいく。もはやほとんどじゃがいもと区別がつかない。普通のポテチでは味わえない、厚切りならではの変化である。口の中にほのかに残るバーニャカウダーパウダーと相まって、蒸したじゃがいもにソースをかけて食べているような錯覚に襲われる。サイズが小ぶりゆえ、どんどん喉の奥へと押しやってしまいそうになるが、このポテチはしっかりと咀嚼して口の中で起こる味の変化を楽しんだほうがいい。
じゃがいもの風味を味わえるポテチといえば菊水堂のしお味である。味が異なるのが単純な比較はできないが、菊水堂ポテチがあっさり系のしお味であるため袋を開けた瞬間からじゃがいもの香りが際立つのに対して、グランカルビーは味が濃いためそういった感覚はないものの、こちらは厚切りの特性を活かして時間の経過によってじゃがいも感を愉しめるようになっている。
大手、侮りがたし、そう思わせてくれる高クオリティポテチであった。
ごちそうさま。次は何味を食べようか。いやいや、まだグランカルビーのしお味、チーズ味、焼き林檎味、濃厚バター味、塩キャラメル味が残っているのだった。お楽しみはまだまだ続く。
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フジノネのあじのひものあじチップスを食べる
画竜点睛を欠く(ことわざ)
フジノネのあじのひもの味チップスを食べる
今回はあじのひものあじチップスである。静岡県の三島に行った際に購入したものだ。製造元の株式会社フジノネは熱海の会社だが、アジが獲れる伊豆半島のご当地ポテチといったところだろう。アジの干物とはなかなかに攻めているが、どこまで再現できるのか気になるところだ。そもそも再現できていれば嬉しいのか。再現されればされるほど生臭いんじゃないかという不安が頭をよぎる。あじのひものポテチという未知なる領域、じゃがいもとアジがどんなケミストリーを見せるのか、まったく想像ができない。
実食である。
味は日本のポテチ特有のアミノ酸が効いた味。カルビーの関西だししょうゆ味を連想させる旨味の強さだ。まあ、標準的で普通に美味しいといったところ。
・・・
いやいやいや、これは関西だししょうゆ味ではなく、アジの干物ポテチだったはずだ。なぜに鰹出汁の風味なのだ。
それにしてもアジらしさは一片も感じられない。再現度はゼロパーセントである。パウダーのかかり具合が少なかったのだろうか。疑問を抱きつつもさらにあじのひものポテチを食べ進める。
しかし、どんなに食べ進めてもアジらしさは全く出てこない。もともとポテチで表現するには難しい味だとは思うが、こうまで再現されていなくてもいいのだろうか。
あの香ばしいアジの干物の風味が効いてる!お酒のおつまみにもぴったり!
というのがこのポテチの売り文句。出汁の味は効いているからお酒のおつまみにぴったりというのは正しい。しかし、何度も言うがアジの味は全くしないのである。
狐につままれたような気持ちになりながら、裏面の原材料名を見る。
すると何ということだろう、原材料名にアジがどこにもいないではないか。鰹節エキスパウダーとエビ調味料粉末だけである、海産物要素は。鰹節エキスパウダーが入っているわけだから、どうりで出汁っぽい味がするはずだ。
ポテチの味を生み出すのは錬金術のようなものだ。今日、たくさんのポテチの味が世に送り出され、原材料名を見れば、よくこんな組み合わせを思いついたものだ、と驚嘆させられるものも多い。
だから、アジといいながら原材料名にアジが入っていないことはあり得ないことではないが、それにしても鰹節+エビでアジ味になるとは容易には想像できないし、事実、少なくともこのあじのひものポテチからアジの要素を見つけるのは困難だ。
鰹節出汁味だったら何の問題もないのだけど。
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今後のご当地ポテチへの挑戦に期待か
単純にアジの干物を乾燥パウダーにして振りかけただけでは味が再現できなかったか、生臭いとか他の問題が出たのか、原因は不明だが恐らく上手くいかなかったのだろう。そんなことはメーカーだって試したハズだからだ。再現の難しさに直面してもなおアジの干物味はやめましょう、と撤退できなかったのは、人には語れぬのっぴきならない事情があったのかもしれない。
それとも、最後の最後でアジのパウダーを入れ忘れたというまさかのアクシデントが発生したのか。。。
・・・
アジは伊豆半島を代表する海の幸だが、アジに劣らぬ名物が金目鯛であり、金目鯛といえば煮付けである。ざっとググったところでは金目鯛の煮付けポテチは見当たらなかった。煮付けのほうが再現しやすいのではないだろうか。
ご当地ポテチはとても楽しい。ご当地ポテチ探しは私の旅行の楽しみの一つだ。あじのひものポテチは出汁風味で味自体は悪くないのだが、確実に言えるのはアジの干物的要素はまったくないということだ。是非とも今度は金目鯛の煮付けポテチでリベンジを果たしてほしい。
ごちそうさま。今度は何味を食べようか。
剛健エンタープライズの浜名湖産のりとしお味ポテトチップスを食べる
無知であることを自覚するのは、知識向上の大きな一歩である(ベンジャミン・ディズレーリ(イギリスの元首相)
剛健エンタープライズの浜名湖産のりとしお味ポテトチップスを食べる
今回は剛健エンタープライズの「浜名湖産のりとしお味ポテトチップス」である。同社のネットで注文できる。一袋120グラム5袋で1750円とポテチとしてはやや高めのお値段なり。
浜名湖産の海苔と焼津沖の駿河湾から汲み上げた海洋深層水から作られた塩で味付けされたこだわりポテチだ。パッケージには「静岡県西部の酒屋が中心となって、地場産品を中心にした、こだわりのオリジナル商品を企画・開発」しましたと書かれている。私は食べ損ねたがこの「のりとしお」味は同社が出したポテチの第2弾で、第1弾は「三方原男爵ポテチ」だったそうだ。
三方原は浜松市北部の地域。戦国時代、徳川家康と武田信玄が戦った古戦場として歴史好きの間では有名だ。家康は信玄に大敗北、命からがら浜松城に逃げ帰ることになったのだが、敗戦直後に描かれた「徳川家康三方ヶ原戦役画像」は家康が恐怖のあまり脱糞したという逸話ともあいまって歴史好きの多くが知る肖像画である。第2弾ののりとしおポテチが美味しかったから、第1弾の三方原男爵ポテチを食べられなかったのは私の人生の五指に入る後悔といえようか。
実食
カットは厚切りタイプ。浜名湖産の海苔を使っているというだけあって、海苔の風味がしっかりしている。ポテチにまぶされている海苔粉末が私の味蕾に付いたとき、その海苔粉末から味蕾に海苔の味が直接伝わってくるのだ。海苔もどことなく本来海苔が持っているしっとりさが残っている感じさえある。塩味がほどほどに効いている。これまで食べたこだわりのりしおポテチといえば、菊水堂ののり味であったが、菊水堂ポテチよりは塩味が効いている。本ポテチは決して塩味が薄いわけではないが、かといって化学調味料無添加ポテチにありがちな塩っぱい感じでもない。私の味蕾は濃いめの味付けを好むが、私の味蕾には塩っぱくもなく、かといって薄くもなく、ちょうどよい塩加減に思えた。
のりしお味はポテチの定番フレーバーの一つだ。私も40年弱の人生で数えきれないほどののりしお味を食べてきたし、とても美味しく食べさせてもらってきた。しかし、これまではフレーバーとしてのりしおを感じていたのであって、ポテチに付着した海苔から直接に海苔の風味を感じているとは考えてこなかった。極端に言えば、のりしおポテチに付着している海苔は黒い点であって、のりしお味であることを示す記号に過ぎないと思っていたのだ。しかし、のりとしお味の海苔粉末からは直接に海苔の存在を感じ取れた。今後、のりしお味を食べるときは、もっと海苔粉末に神経を集中させていこうと思う。
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剛健エンタープライズ
それにしても剛健エンタープライズとは聞かない会社名である。さらに言えば全くお菓子メーカーっぽくない。実際、同社の事業内容を見ると、一般貨物自動車運送事業、利用運送事業、軽貨物運送事業、一般労働者派遣事業、有料職業紹介事業、倉庫業となんら製菓事業と関係のない事業分野が続いた後に、ようやくフード事業が出てくるのである。ポテチ開発は同社の商品開発部の仕事のようで、
当社では春夏限定で、国産のじゃがいもを100%使用した、ちょっと贅沢なポテトチップスを販売しております。この商品は浜松商工会議所ブランド限定品で一般的なスーパーには出回っておらず、隠れた名品となっております。
《静岡産じゃがいも100%!海洋深層水の塩を使った一級品のポテトチップス》
春から夏にかけて収穫されたばかりのじゃがいもを丁寧に釜揚げし、豊富なミネラルを含む駿河湾・焼津の海洋深層水から採れた塩で味つけをしました。化学調味料を一切使っていないので、じゃがいも本来の味わいに塩の風味が加わり抜群の美味しさをお楽しみいただけます*1
と紹介されている。どういう経緯でポテチを作ることになったのかと気になって検索してみると、クラウドファンディングのページでポテチ開発の経緯が書かれていた。三方原はじゃがいも生産に向いているものの、かつて出荷規格に合わず捨てられてしまうじゃがいもが多く、そのじゃがいもの活用方法としてご当地ポテチが考案されたそうだ。もともとは別の会社が生産していたそうだが、経営事情の悪化によりポテチ生産の継続が困難となり、それでその会社にじゃがいもを出荷していた剛健エンタープライズがポテチ生産を引き継いだということらしい。
広島東洋カープを優勝に導いた黒田博樹に勝るとも劣らない男気ではないか。ただでさえ美味しいポテチ。このエピソードを聞かされれば第三弾への興味が否応なしに高まってくる。次はどんなポテチを開発してくれるのだろうか。来年のことを言うと鬼が笑うと言うが早くも来年のポテチ発売日が待ち遠しい。
ごちそうさま。次は何味を食べようか。
湖池屋のプライドポテト インペリアルコンソメ味を食べる
巧遅は拙速に如かず(ことわざ。上手でも遅いより、拙くても速いほうがいい)
湖池屋のプライドポテト インペリアルコンソメ味を食べる
このブログもようやく50記事に到達しそうなのだが、これまでコンソメ味は取り上げたことがなかったように思う。
そんな中、湖池屋のプライドポテトシリーズにコンソメ味が新作として登場したので、今回はそれを食べてみた。秘伝濃厚のり塩、松茸香る極みだし塩、魅惑の炙り和牛を皮切りに、今金男爵幻の芋とオホーツクの塩、手揚げ食感長崎平釜の塩、そしてインペリアルコンソメがプライドポテトシリーズに名を連ねている。
私はもちろん全味を食べているが、当ブログでは魅惑の炙り和牛と秘伝濃厚のり塩を取り上げている。他の味よりこれらが美味しかったから、というわけではなく、本当は食べたポテチ全てをブログ記事にしたいと思っているが、筆が遅くて単に間に合っていないだけであり、そうこうしているうちにそのポテチの旬が過ぎてしまって、今更書いてもなぁ、となってしまっただけである。駄文でもいいからとにかく書いてアップするか、更新頻度は遅くてもいいから一つ一つの記事の内容を良くするか、これはブロガーの永遠の悩みではないだろうか。おまえは時間をかければいい文章が書けるのか?という根源的な問いには敢えて触れないことにしよう。
プライドポテトシリーズで個人的に一番好きなのは手揚げ食感長崎平釜の塩だ。浜の真砂ほどの種類のあるポテチであるが、結局のところ私が一番好きな味は塩味なので、塩味にこだわったポテチにどうしても軍配を上げたくなる。私の味蕾はなかなか保守的なのだ。
コンソメ味はポテチのフレーバーの中で定番の一つだが、私が一番食べることが少ない味でもある。あくまで私の個人的な印象であるが、コンソメパンチやリッチコンソメなどはあるものの、他の定番フレーバーに比べると味の種類のバリエーションに欠けるような気がするのだ。夏ポテトのような期間限定ポテチは塩味はあってもコンソメ味は少ない(よくよく考えるとのり塩も派生型は少ないように思えてきた)。
さらに言えば、単に私の味蕾が機能不全を起こしているだけなのかもしれないが、通常のコンソメとコンソメパンチやリッチコンソメとの違いは正直よくわからない。濃いと言われたら濃いように思うし、普通ですよと言われたら普通のようにも思うし、といった具合だ。開発者のやる気を挫くような感想だが、私の味蕾の限界はこの程度なので、そこはどうかご容赦願いたい。
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実食
そういう意味でこの湖池屋のインペリアルコンソメはコンソメ界にようやく訪れた期待の大型新人といったところではないだろうか。
和牛、国産帆立、まるごとの伊勢海老。贅沢な素材の凝縮した旨みに、三種の香味野菜と白ワインの風味をきかせてじっくりと煮詰めたような、味わい深いコンソメです
というのだから、なかなかの気合の入りぶりである。 imperial(皇帝の、最高権威の、荘厳の)の名を冠するだけの意気込みが伝わってこようというものだ。
湖池屋は新商品情報をブログ「ぱくログ」として発信しており、5人のスタッフが交代で記事を書いている。インペリアルコンソメの記事を担当したのはA型かに座でモノマネ上手なパフォーマーであるオバタさんだ。
一口食べて即実感。深い・・・とっても深い味わい。
優雅に上品に・・・でも、大胆に。和牛、国産帆立、まるごとの伊勢海老、それぞれのおいしさが混ざり合い、それらが一つになることによって生み出される極上のコンソメの味わいが口の中に広がっていきますヽ( ´¬`)ノ
オバタさんは一口食べて深い味わいを実感できるというが、私はどうか。
なるほど。
味は明らかに通常のコンソメ味とは違う。一線を画す何かがある。フレンチを食べた時の、うーん、なんだかわからないんだけど、複雑な味がして、あー美味しい、というあの感覚がしっかり再現されている。実際はまったく煮詰められていないのに、湖池屋の言うとおり、「和牛、国産帆立、まるごとの伊勢海老。贅沢な素材の凝縮した旨みに、三種の香味野菜と白ワインの風味をきかせてじっくりと煮詰めたような」味わいだから恐れ入る。プライドポテトシリーズはどれも普通のポテチよりもこだわり感を出しているのだが、もっとも普通のフレーバーとの違いを感じられるのはこのインペリアルコンソメだと思った。
ごちそうさま。次は何味を食べようか。
オサダのうす塩ガーリック味を食べる
匂いほど、過去をはっきり思い出させてくれるものはない(チャーチル)
オサダのうす塩ガーリック味を食べる
今回はオサダのうす塩ガーリック味ポテチである。渋谷の東急に入っている成城石井で買った。成城石井ならどの店舗でも買えるのかはわからない。
このうす塩ガーリック味と聞けばどれほどジャンキーな味だろうかと思わず想像が膨らむことと思うし、私自身とても想像が膨らんでいた。
しかし、実食してみるとわ豈図らんや実にシンプルなポテチである。よくよく原材料名を見てみれば、味付けは塩とガーリックパウダーだけだ。なるほど、どおりでシンプルなはずである。
シンプルなだけにガーリックの存在感がとても強い。ジャンキー系ガーリック味は様々な要素が加味されているぶん、ガーリックのインパクトが相対的に薄れているし、食べ終わった後に誰かに「は〜」っと息を吹きかけてもガーリック臭を感じ取られることはほとんどないだろう。その点このうすしおガーリック味はしっかりとその余韻を口の中に残す。人と近接する予定のある人は絶対に食べてはならない。
ガーリック味というよりはニンニク味、ニンニク味というよりは大蒜味という表記のほうがピッタリだ。ガーリック味なんていう洒落っ気はまったくなく、むしろ大蒜という無骨な表現こそふさわしい。地に根をしっかり張った安定感がこのポテチにはある。大蒜にここまで正面から向き合って作られたポテチは少ないと思う。大蒜の名を商品名に冠する正当な資格を有するといえよう。ほんのりと効いた塩味とニンニクが食欲を刺戟する。
反対に「今日はジャンキーなものを食いたいぜー、ヒャッハー」みたいな気分のときはむしろ物足りなさを感じるかもしれない。六本木の夜にくり出すつもりが、どうしたわけか田舎の禅寺にたどり着いてしまったというか。目的地が違うと言ってそこで引き返すのも人生だが、乗りかかった船だと言って座禅でも組めば六本木とは違う充実感を得ることができるだろう。このポテチの良さを例えるならさしづめこういったところか。もちろん読者諸賢が想像するとおりこの例え話で伝わるとは私自身思っていない。
株式会社オサダ
では、この無骨で清らかな心を持つポテチを製造した株式会社オサダとはいかなる会社なのか。
所在地は長野県中野市。無臭にんにく製品やニンニク粉末を製造する会社だ。本製品は無臭ではなかったような気がするものの、お菓子メーカーではなくニンニク専門の会社がつくったポテチだったわけで、なるほどだからこそニンニクの存在感たっぷりのポテチだったというわけだ。納得である。
同社ウェブサイトでもニンニクポテチが紹介されている。今回食べたニンニクポテチとはパッケージが異なるが、会社の所在地が同じだから、同じ会社がつくったものと推測される。
この会社が成城石井に営業したのか、それとも成城石井のバイヤーが見つけ出したのか、いずれにせよ長野県の小さな会社がつくったこだわりポテチが東京のど真ん中で買えるのは何とも幸せなことである。本ポテチを売ることを決断した成城石井の決断に大天晴れをあげたい。
ごちそうさま。次は何味を食べようか
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磯山商事の18禁カレーのカレーチップスを食べる
善行は、お返しが出来ると思われる限りは、快く受け取られる。その限度を超えると、感謝の代わりに憎悪が返ってくる(モンテーニュ)
磯山商事の18禁カレーのカレーチップスを食べる。
今回は磯山商事の18禁カレーのカレーチップスである。18禁である理由はその辛さだ。媚薬が入っているからではない。私がアマゾンでポテチを検索したところ発見したもので、インパクトに惹かれて思わずワンクリックで購入してしまった。値段は80グラムで1349円だからかなりの高級品だ。通常のポテチの約10倍の値段である。
磯山商事のウェブサイトによると、超痛辛い「ブットジョロキア」という唐辛子が使われている。その辛さはなんとタバスコの200倍。
私の辛さ耐性は人並みにはある。激辛大歓迎というほどではないが、もしかしたら平均よりはやや強いほうかもしれない。唐辛子の辣系も、山椒の麻系も、いずれも大丈夫だ。東京都内のラーメン好きにしかわからない喩えだろうが、私の辛さ耐性レベルをラーメンで表せば、都内の辛味系ラーメンとして有名な蒙古タンメン中本だと「北極」は無理そうなので食べたことないが、ノーマルな蒙古タンメンは余裕。神田駅近くの辛味系ラーメンの名店、鬼金棒だとカラシビのレベルが五段階中上から二番目だと食べられるには食べられるが、心地よく美味しさを味わう余裕はない。辛いラーメンそれ自体はとても好きだから、これらの諸要素を総合すると私の辛さ耐性レベルは人並みかやや上くらいのレベルといったところと思われる。読者諸賢が本商品の辛さに関する私の感想を参考にするときは、私の辛さ耐性レベルがその程度ということを念頭に置いていただきたい。
そんな人並みの辛さ耐久力しかない私がなぜこのポテチに手を出したのかといえば、もちろんポテチ好きだからだし、辛いものも好きだからだし、それゆえ私が本商品を手に取っても私の嗜好的にまったくおかしいことではないのだが、正直な心情を吐露すれば、たまには珍しいポテチにも触れておかないとこのブログ自体がマンネリ化するし、さらに正直に言えば、ちょっと変わったポテチに手を出したほうが、このブログの読者数やPV数が上がるのではないか、という下心があることは否定できない。
激辛ポテチを食べてブログでそれをレビューすることは何ら違法行為でも迷惑行為でもないのだが、世間の耳目を集めるために過激な行為に及び、外道の道に堕ちてゆくユーチューバーやバカッターたちの心境はさしづめこのようなものなのかもしれない。
激辛ポテチを実食する
さて、実食である。普通のポテチに辛味パウダーが別に添付されている。ポテチの袋に辛味パウダーを加えシャカシャカすれば激辛カレーポテチの出来上がりというわけだ。辛味パウダーの量で辛さを調節できるが、私はすべて投入した。辛味パウダー投入前は薄い塩味ポテチといったところで、特筆すべき要素は何もない。堅さの質もよくもなければ悪くもないといったところ。
辛味パウダー全投入バージョンを実食。
・・・
食べられなくはない。
食べられなくはないが、あとからビリビリという辛味が口の中を襲う。
食べられなくはないが、また、耐えられないほどでもないが、すぐに2枚目に手を伸ばそうという気分にはなれない。
食べられなくはないが、とても辛くて美味しいという快感はまったく感じられない。ただただひたすらに辛いだけだ。辛味の中に旨味が、、、というグルメレポーターが言いそうなコメントはまったく当てはまらない。旨味などは微塵もなく、ただひたすらに辛いだけである。
私は3枚食べたところでつらくなったので、なんとかこの辛さをマイルドにできないかとマヨネーズをつけて食べてみたところ(ししゃもに唐辛子とマヨネーズをつけるイメージ)、だいぶマイルドにはなるがたっぷりつけなければ効果はない。このペースでは完食するためにマヨネーズ1ダースが必要になってしまう。まだ完食できていないが、残りは砕いてサラダに混ぜる等、調味料として使っていきたいと思う。
辛味が超大好きなクレージーな人でなければ、このポテチの存在意義は、パーティー向けで、「うっわー、やべー、ちょーかれー」と皆でワイワイ盛り上がるためだけにあるのだと私は思った。カラムーチョ等、辛味を謳うポテチは数多けれど、この18禁カレーチップスはそれらを軽く凌駕する。世の中に辛味ポテチのほどほどという基準があるとすれば、このポテチは完全にやり過ぎのレベルである。
磯山商事とは?
そもそもこの激辛ポテチを世に送り出した磯山商事とは何者か?
ウェブサイトの情報をまとめると、所在地は茨城県鉾田市、創業は1979年4月。実は私も1979年4月生まれ。なんと、激辛ポテチを製造するやや変わった感性をしているこの会社は私と同い年だったのである。この偶然を光栄に思うべきか、それとも嘆けばいいのか判断に迷うところだ。事業内容は、「農産物の一次加工業・惣菜・漬物製造業・食品の冷凍冷蔵業・レトルト食品、缶詰、瓶詰め製品の製造業・生鮮・加工・冷凍食品の研究、開発」と、これだけ見ればそんなデンジャラスなスナック菓子を製造しているとは想像できない。ウェブサイトのつくり自体、むしろ牧歌的でさえある。
が、冒頭に掲載しておいたリンクを見た方はすでにおわかりだろうが、18禁カレーの特設ページだけがやけに異色で妙な悪ふざけ感が満載だ。特設ページを見れば18禁カレーが「おもしろそうじゃん??」というノリだけで考案されたに違いない、と読者諸賢も断言できるだろう。
大手ポテチメーカーの中でこれまで異色を放ってきたのはわさビーフを擁する山芳であった。それに勝るとも劣らないエッジの効いたメーカーが茨城の在野に潜んでいた(実際は潜んでなんかおらず、単に私の不勉強ゆえに知らなかっただけだが)。同社の18禁カレーはすでに数種類が製造されているが、カレーポテチもさらなる進化を遂げるのだろうか。
ごちそうさま。次は何味を食べようか。
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