山芳の生産者限定ポテトチップス うすしお味を食べる
「叱る」と「褒める」というのは同意語だ。情熱や愛情が無いと、叱っても、ただ怒られているというとらえ方をする(野村克也:元野球選手・監督)
日本で生産される代表的なじゃがいもの品種
じゃがいもの代表的な品種としては、男爵、メークイン、インカのひとみ、グラウンドペチカ、トヨシロ、ニシユタカ、シャドークイーンなどがある。ポテトチップスの原料としては、トヨシロのほか、スノーデンやきたひめがあるが、トヨシロがポテチ用加工じゃがいもの主力である。これらの品種は、くぼみが少なくて皮がむきやすい、油で揚げたときに焦げにくい、水分が少ないので薄くスライスしやすいという特徴を持っている。それゆえにポテチ向けの加工用に向いているのである。
さて、今回は山芳の「生産者限定ポテトチップス うすしお味」である。その名のとおりじゃがいもにこだわったポテチである。
2017年9月から10月に、北海道本別で収穫したじゃがいもを使用した、ポテトチップスです。化学調味料不使用で素材の味がひきたつ、しお味を是非お楽しみください
とのこと。
山芳とは、わさビーフで有名なあの山芳である。素材の味を引き立てるなんてことをまったく考えていないように見える、あの山芳である。今年彼らが世に問うたパインアメ味は一部の間で旋風を巻き起こした(と私は勝手に想像する)。山芳というのはパインアメ味のような変わった味を世に送り出すメーカーであり、カルビーや湖池屋といったポテチ界の巨頭とは一風変わった独自路線を邁進している。ベンチャー企業っぽいトガリっぷりだが、創業は昭和28年と戦後10年も経過していない時代に創業された立派な老舗企業である。
今回食べたポテチは純粋たる塩味。まったく山芳らしくない。生産者限定、じゃがいもは国産トヨシロというアピールもまったく山芳らしくない。一瞬、同姓同名を疑ったが、製造者は「山芳製菓株式会社」であり、住所は東京都板橋区常盤台1−52−3、まさしくわさビーフの山芳製菓の本社所在地だ。
やんちゃ坊主がある日突然優等生になったような、どう扱ってよいかわからない不思議な扱いづらさがある。無論、山芳的ないつものポテチだって生産者にもじゃがいもの品質にもこだわっているだろうが、突如として優等生然とした山芳に私はいささかの戸惑いを覚えた。山芳にとってはとんだ言いがかりに違いないのだが。
生産者限定ポテチを食べる
で、お味なのだが、しお味がきっちり効いてとても美味しいのだが、ポテチになってしまうと生産者にこだわったとか国産トヨシロにしました、と言われてもなかなかわからない。なんせ、あの薄さでしかも油で揚げてあるのだから。生や蒸したじゃがいもを丸ごとかじりつけばその違いに気づくというものだが、ポテチになってしまえば普段との違いを感じ取るのはそもそもミッションインポッシブルなんじゃなかろうか。第一、比べようにも通常の山芳のラインナップに塩味なんてないではないか。
それに、だ。
冒頭で書いたとおり、ポテチ用じゃがいもの主力はトヨシロであり、 それらのほとんどは国内で調達される。輸入はあくまで「不作時の調整用」。輸入ものは不良率が高く、輸送費を含めるとコスト高なのだ。
そんなわけで、敢えて書かずとも日本のポテチの多くは国産のトヨシロが使われている確率が高い。山芳が生産者を限定しているかどうかはわからないが、カルビーは契約生産者のじゃがいもを使っているから、その意味では生産者は限定されている。しかも、契約生産者に最適な収穫時期を教えたりする「フィールドマン」と呼ばれる人々がいて、じゃがいもの品質を厳しくチェックしているという。山芳のことはよく知らないものの、おそらく山芳もしっかりとした品質管理をしていると容易に想像できる。
とすれば、別にこの生産者限定のポテチでなくても普段から品質管理が徹底された国産じゃがいもが使用されていると思われる。もしかしたら通常よりもさらにこだわっているのかもしれない。しかし、30点が90点になったのなら大きな違いだろうが、もともと80点以上の高水準のポテチを食べ慣れていたら、それが90点になっても相対的な差異は小さく、こだわりプラスαの部分に気づくのは相当に至難の技だ。考えてもみればなんとも贅沢な話である。常日頃からよく出来るものだから、周りはそれに慣れてしまい、いつもよりちょっとよく出来たくらいでは、今更驚かない。正しくいいものはいい、悪いものは悪いと言える人間としての基本を私は忘れていたのではないか。
そう、このポテチは美味いのである。
ごちそうさま。次は何味を食べようか。
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カルビーのピザポテト、濃厚チーズ味を食べる
我が巨人軍は永久に不滅です!(長嶋茂雄)
カルビーのピザポテト、濃厚チーズ味を食べる
今回はカルビーのピザポテト、濃厚チーズ味である。
ピザポテトといえば、じゃがいも不足によるポテチ生産停止の象徴的な商品であり、一袋150円程度の商品がオークションサイトで何倍もの値段で取引されたことでも話題となった。
そのピザポテトの期間限定版がこのポテチなわけだが、濃厚チーズを謳うだけあってチーズの味が確かに感じられる。入れた瞬間よりは、バリバリ食べて残り香というか、口の中に残る余韻というか、ポテチの固形がなくなろうとするときにチェダーやゴルゴンゾーラの重たい風味が感じられる。私のバカ舌では4種類のチーズを言い当てるのはムリであるが、それでも通常のピザポテトよりはチーズの存在感が大きいことはわかる。
ここで気になるのが通常のピザポテトとの違いだ。下の表が原材料の比較である。濃厚チーズ味にエメンタール、チェダー、モッツァレラ、ゴルゴンゾーラが使用されているのに対して、通常のピザポテトはエメンタールとチェダーの2種類だけだ。また、通常のピザポテトにトマトや野菜の要素が添加されている一方で、濃厚チーズ味はおそらくチーズの味を前面に出す意図だろうか、トマトや野菜エキスパウダーは入っていない。
ピザポテト濃厚チーズ味 | ピザポテト |
じゃがいも | じゃがいも |
植物油 | 植物油 |
乳糖 | 乳糖 |
ぶどう糖 | 砂糖 |
でん粉分解物 | でん粉分解物 |
食塩 | チーズパウダー(エメンタールチーズパウダー、チェダーチーズパウダー) |
チーズパウダー(エメンタールチーズパウダー、チェダーチーズパウダー、モッツァレラチーズパウダー、ゴルゴンゾーラチーズパウダー) | ぶどう糖 |
砂糖たんぱく加水分解物(小麦、大豆を含む) | 食塩 |
酵母エキスパウダー | チキンエキスパウダー |
でん粉、 | ガーリックパウダー |
フライドガーリックパウダー | 酵母エキスパウダー |
調味料(アミノ酸等) | 野菜エキスパウダー |
香料 | ミート風味パウダー(小麦・大豆・豚肉を含む) |
乳化剤 | たんぱく加水分解物 |
酸味料 | トマトパウダー |
パプリカ色素 | 唐辛子 |
甘味料(アスパルテーム、L-フェニルアラニン化合物) | デキストリン |
パセリ | |
サラミ風チップ | |
調味料(アミノ酸等) | |
香料(りんごを含む) | |
酸味料 | |
乳化剤 | |
着色料(カロチノイド、カラメル、紅麹) | |
香辛料抽出物 | |
甘味料(ステビア) | |
くん液 |
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チーズって。。。
ところで、チーズが好きかと聞かれたら、まぁ、普通と私は答える。フレンチなりイタリアンのコースでチーズを選べたりするが、私は酒が弱く、ワインが取り立てて好きではないというのもチーズに対する思い入れが小さい理由の一つだろう。
ただし、正統派でないチーズ、すなわちスーパーで売っているとろけるチーズのようなああいったチーズは好きだ。ハンバーガーならチーズバーガーのほうが好きだ。とろけた食感とそれが周りの食材と渾然一体になったときの塩味とコクがプラスされた、あの感覚が好きなのだ。だから食べたことはないのだが、たぶん私はラクレットが好きだと思う。私にとってチーズとは味ではなく、とろけて舌にスライムのようにのしかかるあの重みと風味を味わうものなのだ。
フレンチやイタリアンにしょっちゅう行くわけでないから特に困るわけでもないのだが、こういったときにチーズの蘊蓄の一つも語れるのが大人だとすれば、私の大人への道のりは遠く険しいものと言わざるを得ない。チーズについて何も語ることのできない、そんな私にできることといえば、蘊蓄語るオヤジはウザいというネットニュースを見て溜飲を下げることだけだ。
それにしてもワインとチーズという蘊蓄界の二大巨頭について何も語れないというのは飛車角落ちとも言うべき惨状である。ポテチならば少しは語れようが、そもそもこの話題にそれほど需要があるのか甚だ疑問である。需要がないのにひたすらポテチについて語るような人間にはなりたくない。それこそネット界隈で蛇蝎のごとく嫌われるワインとチーズの蘊蓄オヤジ以下の所業と言わざるを得ないだろう。強く自分を戒めたい。
それで話をピザポテト4つのチーズ味に戻せば、こちらも美味しいとはいえ、やはり軍配は普通のピザポテトに上げたい。別に世のワイン蘊蓄オヤジやチーズ蘊蓄オヤジを僻んでいるからではない。まして、それに釣られる淑女たちに恨みがあるわけでもない。このことはキッチリと断っておかなければ、私の沽券にかかわるというものだ。その点読者諸賢はゆめゆめ誤解することなかれ。
別に濃厚チーズ味がまずいわけではない。むしろその逆でちゃんと美味しい。だが、普通のピザポテトがそれ以上に美味しいのだ。ピザポテトはすでに完成された味だと私は思う。完成された味を超えるのは至難の業だ。国民的スーパースターである長嶋茂雄を父に持つ一茂にかかるプレッシャーはどれほどのものであったろうか。ピザポテト4つのチーズ味の責任ではなく、偉大なる父を持つがゆえの不幸といえよう。
ごちそうさま。次はどのポテチを食べようか。
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カルビーの肉好きのための濃厚ビーフ味を食べる
牛に騎って牛を求む (ことわざ。身近な幸福に気づかないこと)
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カルビーの肉好きのための濃厚ビーフ味を食べる
今回はカルビーの肉好きのための濃厚ビーフ味である。ローソンの限定商品だ。
基本的にビーフ系ポテチに共通することであるが、ペッパーの風味がかなり効いている。湖池屋のプライドポテト魅惑の炙り和牛味もペッパー感が強かった。
ヨーロッパ人を大航海に駆り立てた一因が胡椒を含む香辛料とされている。昔は冷蔵庫なんてものはなかったから、香辛料は肉の保存に重要な役割を果たしていた。しかし、中東経由で流通される香辛料の値段は高く、だったら自分たちで直接買い付けてしまえというわけだ。
今日ではもはや保存を胡椒に頼る必要はない。胡椒は純粋に香りづけのために存在するといってよい。しかし、ビーフ系ポテチにはかつての大航海時代へのリスペクトでもあるのか?というくらい胡椒がしっかり効いている。
しかし、インド原産か南米原産かの出身地の大きな違いがあるとはいえ、よくよく考えてもみれば、胡椒もじゃがいもも大航海時代を経てヨーロッパに持ち込まれた食べ物だ。胡椒は肉の保存と味付けに貢献し、寒冷地でも育つじゃがいもはヨーロッパの栄養事情(時には性欲向上にも効果ありと言われながら)を飛躍的に向上させた。その両者が時代を超えたマリアージュによりポテチとなっていま目の前に存在し、われわれの舌を楽しませる。何とも壮大なスケールの話ではないか。となれば、肉好きのための濃厚ビーフポテチが大航海時代をリスペクトしたとしても何らおかしなことはないといえる。
さて、お味のほうは。。。
さて、肝心のお味のほうだが、濃厚かどうかは普通のビーフ系のポテチと実際に食べ比べてみないと判断が難しいものの、霜降りというよりは赤身のステーキを食べたような印象である。某立ち食いステーキ屋のステーキに近い。立ち食いだろうがなんだろうが牛肉には違いないから、その意味ではしっかりとビーフ感が再現されていると思う。酒好きならクラフトビールをグイッといきたくなるような味だ。要するに美味しい。
原材料名にはチキンパウダーが入っている。いくらビーフ感が再現されているとはいっても、ポテチが実物の牛肉でない以上、牛肉感を出すには他の肉の助勢が必要ということなのだろう。チキンパウダーで足されたのはどういった風味なのだろうか。チキンパウダーだけを味わってみたいものだ。
牛豚鶏ジビエ、お肉はだいたい何でも好きだけど、牛はその中でも高級なイメージがする。普段食べる肉は自ずと豚肉と鶏肉に偏る。100グラム1000円という価格が付けられていたら豚肉ならかなりの高級品だが、牛肉だと、それも特に和牛だと並のお肉になってしまう。同じ値段でも牛と豚では買えるクオリティに大きな差が出る。だからこその牛肉の高級感なのであり、肉好きなら牛でも豚でも鶏でもよさそうなものだが、カルビーが牛肉を選択したのは、牛肉が持つ高貴さゆえなのだろう。
ごちそうさま。次は何を食べようか。
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カルビーのポテリッチ濃厚バター醤油味を食べる
牛に経文 (ことわざ。いくら説いても効き目がないたとえ)
なぜポテチを食べるのか
ポテチを食べるのはなぜだろう?この問いの対象をスナック菓子全般に広げてもいい。事実、私はポテチに限らずスナック菓子はほとんど好きであり、ただ、とはいえダントツに好きなのはやはりポテチなのである。
しかし、タバコほどではないにせよ、健康的側面からすれば蛇蝎のごとく嫌われるポテチをなぜに私は好きなのだろうか?私はタバコを吸わないので愛煙家の気持ちはわからない。タバコを吸わない人間からすればあんなに苦いものを嗜好する感覚がまったく理解できないが、同じ意見はポテチストに向けられても不思議ではない。
それでもやっぱり私はポテチが好きだから食べてしまう。はっきりと美味しいと知覚したうえで私はポテチを食べているのである。健康に悪いのに食べるなんてあたかも自傷行為のようでさえあるが、決して自分を罰するためにポテチを食べているわけではない。
今日のところは好きだから食べるという平凡な答えにしかたどり着けなかったが、いずれは深層心理レベルから解き明かさなければならないのだろう。
ポテリッチ濃厚醤油バター味
さて、今日はカルビーのポテリッチ濃厚バター醤油味である。来年3月までの期間限定商品だ。
「北海道産バターの深いコク」と北海道産バターをアピールするが、本作に限らず、日本のバター味で使用されるバターは、北海道産のバターなのではないかという気もする。というのも日本国内のバターの大半は国内産だからであり、国内産の8割以上が北海道産だからである。その意味ではポテチにエシレバターを使いましたーと言ったほうがインパクトはあるかもしれない。
湖池屋が従来から国産を使っていたにもかかわらずこだわり感をアピールするために「日本産」を前面に押し出し始めたというのは先日書いたとおりだが、カルビーの北海道産アピールも同じ文脈で捉えられるものなのだろう。
という話はさておき、ポテリッチの実食だが、ポテリッチのいいところは厚切りなところ。噛んで舌の上でころがせば、厚めのポテチから染み出したほどよい油と味付けが舌に染み渡る。どこらへんがリッチなのかと問われるとウッと答えに窮するのは否定はできないが、バター醤油という味付けは鉄板中の鉄板だ。
バターも醤油も火にかければ人をダメにする殺人的に誘惑的な香りを発する。手を替え品を替え、たびたびバター醤油味のポテチが世に送り出されるのはバターと醤油の持つ悪魔的な魅力ゆえであろう。そして性懲りもなく私はコンビニの、スーパーの棚に陳列されるバター醤油ポテチに手を伸ばすのである。私にバター醤油ポテチを食べるなと言ってもムダである。
ごちそうさま。さて次は何を食べようか。
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山芳の北海道リッチバター味を食べる
富を軽蔑する人間をあまり信ずるな。
富を得ることに絶望した人間が富を軽蔑するのだ。
こういう人間がたまたま富を得ると、一番始末が悪い人間になる(フランシス・ベーコン)
山芳の北海道リッチバター味を食べる
今回は山芳の極深ポテトの北海道リッチバター味である。
山芳は今年すでに極深ポテトシリーズとしてプレミアムバターしょうゆ味を出している。バターしょうゆなので今回のリッチバター味とはだいぶ方向性が異なるが、バター味という点では共通だ。リッチ感を演出しようとすると人はバターに行き着くのだろうか。
これは山芳に限られないのだが、バター系の味には多くの場合で砂糖が使用されている。この山芳の北海道リッチバター味も例に漏れない。というか、かなり甘みが強めといってもよい。甘さはわれわれを幸せに誘うが、やや甘みが強すぎるかなぁ、という感じもする。バターがリッチというよりは、甘さ主体にバターが添えられているといったほうがよろしいか。
量が50グラムでコンビニ価格が150円だから、価格もややリッチ。湖池屋も高級化路線にシフトしつつあり、カルビーもリッチシリーズを世に送り出す。味の変遷を時系列で並べれば今はリッチ時代到来といえるのではなかろうか。
統計上景気は拡大局面にある。NHKニュースが公開された6月時点では戦後3番目に長い景気回復期間ということだがったが、9月時点でいざなぎ景気を超えて戦後2番目に長い景気回復期間になったらしい。しかし、われわれがそれを実感できる機会はとても少ない。
リッチなポテチはそのわずかな機会ともいえるし、われわれが得られる恩恵なんてせいぜいその程度ともいえる。どちらと捉えるかは各人の心持ち次第だが、早い話、ポテチストとしては美味しければ何でもよいともいえるし、ポテチのバリエーションが増えるならそれもまた大歓迎ともいえるだろう。単価引き上げの方便に踊らされているような気もしなくもないが、価格と質が釣り合っているなら何も言うまい。その点今回のリッチバターはちょっと惜しかったなという感じではある。
日本経済のデフレは一向に解消されないが、ポテチ界は一足先にインフレ局面に入りつつあるのかもしれない。
大金持ちになりたいとは言わない。ただ、今後もポテチくらいは好きなだけ食べたいなあ、と思うのである。こんな願望、富を得ることに絶望したとまでは言わないが、願いと呼ぶにはあまりに軽すぎるだろうか。
ごちそうさま。さて次は何を食べようか。
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フラ印のマウイチップス・カイソルト味を食べる
行きたければ自信を持って行きなさい(ハワイのことわざ。自分が望むなら実現のために前に進め)
マウイチップス・カイソルト
今回はフラ印のカイソルトである。個人的に日本屈指の美味さを誇るポテチだと思ってる。コンビニやスーパーには必ずしも置いてあるわけではないが、成城石井には高確率で置いてある。成城石井にある事実が示すとおり、価格帯はカルビーや湖池屋のそれよりはお高め。しかし、それだけの価格を支払う価値ありの絶品ポテチだ。頑張った自分へのご褒美、折れそうな心への励まし、大事な仕事の前の気合入れ、様々な人生の重大局面を乗り切るためのエネルギーをこのポテチは私に与えてくれる。あらゆるポテチが偉大だが、このポテチはその中でもとりわけ高価、いや高貴にして偉大なポテチなのである。
日本のポテチらしくアミノ酸系の調味料が含まれているが、それでも添加物は少なめでシンプルな味付けだ。
堅あげ仕様で、油を適度に吸い込んだ厚めのポテチには旨味が閉じ込められている。バリバリ噛み砕く食べ応えがある。ひとつひとつポテチを口に放り込み、ザクザクバリバリ音を立てて噛み砕く。堅あげポテチはカルビーにもあるが、フラ印はより硬質な感じだ。
150グラムという多めの量もいい。勢いよく頬張ってもこの幸せはすぐには終わらないという安心感。ちょっと足りないくらいが丁度よいという考えもあろうが、時には飽きるくらいの幸せに満たされたいというときだってある。150グラムは溢れるほどの幸せを担保してくれる十分な量といえる。
株式会社ソシオ工房
この絶品ポテチを製造するのは株式会社ソシオ工房。
ただし、フラ印ブランドを創立したのはアメリカン・ポテトチップという会社で、その会社が解散、ブランドをソシオ工房が買い取ったというわけだ。
日本のポテチ界の巨頭といえばカルビーと湖池屋の名が挙がるだろう。ポテチの発祥は米国ニューヨーク州のサラトガのホテルとも言われるし、さらに遡れるという説もあるが、日本にポテチを持ち込んだのが実はそのアメリカン・ポテトチップの創業者濱田音四郎氏である。
終戦後、ハワイから帰国し、故郷で数年過ごした後、上京しました。当時の食糧事情のひどさに、驚き、ハワイにいる時に作り方を覚えたポテトチップスを製造・販売する会社の設立に努力しました。その際、銀行に何度も融資の相談に行き、「君の健康な体を担保にお金を貸す」という今では、考えられないスタートを切りました。アメリカン・ポテトチップスを設立した昭和20年代当初は、アメリカ軍のキャンプに納品していました。当時の日本人にとっては、ポテトチップスのどこがおいしいのかと見向きもされませんでした。氏がビアホールにアメリカの友人と一緒に行き、最高のおつまみであることを一生懸命説明してまわり、口コミで評判になりました。また高級ホテルのメニューに採用、スーパーマーケットとの取引が成功と事業が少しずつ軌道に乗り始めました。昭和30年代は高度成長経済と食の欧米化の波にも乗り、ポテトチップスもスナックとして多くの日本人に知られるようになりました。忘れてはならないこととして、ポテトチップスの製法を多くの方に教え、その方々がポテトチップスを販売することで広く普及しました*1 。
カイソルトのカイはハワイ語で「海」。日本語の音読みと同じなのは単なる偶然か?
日経新聞のポテチランキングにポテチ戦国時代を想う
私自身とても大好きなポテチだが、先日日経新聞で大人のポテチランキングという悩殺的な特集が組まれており、その中で第6位に輝いていた。そうであろう、そうであろうと思わず頷いてしまった。
ランキングにはこだわりポテチが並ぶが、それにしても今の日本はさながらポテチ戦国時代の様相を呈している。大手は毎週のように新作を投じてくるし、日本各地にこだわりポテチを作るメーカーが存在する。今さら感があって敢えてなのかもしれないが、かの有名な菊水堂は日経新聞のランキングから漏れている。じゃがいも感が際立ち油っぽさも感じさせない菊水堂のポテチは相当な逸品だと思うが、それでもランキングに入らないとすれば、日本のポテチ戦国時代はかなりクレージーな次元に突入していると言わざるをえない。
ポテチとて少子高齢化による市場縮小は人ごとではないハズ。まして健康志向の興隆という激しい逆風が吹いている。にもかかわらず日経新聞曰くポテチブームというのだから、フシギといえばフシギ。国産アピールや添加物フリーはそんな逆風の中を生き残る生産者の工夫だろうか。健康でなければ不健康なポテチを満足に食べることもできないという逆説的関係にあるわけで、その意味でほどほどであれば健康志向はむしろ歓迎すべきともいえる。今のところ私の健康診断の数値は良好であるので、今後も健康に気をつけながらポテチを食べるという楽しさを享受し続けたい。
食べたいと思ったら自信を持って食べる、そんな自分であり続けたい。
ごちそうさま。次は何を食べようか。
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パッケージを新たにした湖池屋ののり塩を食べる
生来、人間の能力に大差はない。その後の精進によって大きな違いが生まれる(孔子)
湖池屋ポテチのパッケージに「日本産じゃがいも100%」の文字が
今日の日本のポテチの代表格、その一つにのり塩を挙げることに反対する読者諸賢はいないだろう。
そして、その日本オリジナルのフレーバーを生み出したのが湖池屋であることはすでによく知られている。
そんな湖池屋ののり塩ポテチのパッケージに最近「日本産じゃがいも」の文字が打ち出されているのをご存知だろうか?
湖池屋の国産アピール戦略
もともと輸入じゃがいもを使っていたわけではない(実際前のパッケージでも「国内産じゃがいも」って書いてあったし)。ポテチに使用されるのは糖分が少なく加工しても焦げにくい「トヨシロ」や「スノーデン」といった品種であって、それらのほとんどは国内で調達される。輸入はあくまで「不作時の調整用」である。輸入ものは不良率が高く、輸送費を含めるとコスト高になるとのこと。したがって、加工適正を考慮しても日本産に優位性があるそうだ*1。
となれば、べつに今さら日本産をアピールしなくてもいいじゃん、というもっともな問いが浮上する。
が、どうやら「日本産」をアピールするにはちゃんとわけがあるようで、上記の日本農業新聞の記事によると「国産原料をこだわり製法で仕上げた高価格商品に活路を求める」方針の表れとのこと。確かに湖池屋はプライドポテトシリーズを投入することが示すとおり、最近はこだわり高級路線にシフトしているように思える。
「国産」ではなく「日本産」としているのもオリンピックで日本選手を応援してしまうようなちょっとした日本びいきを喚起する。「国産」と同じ意味なのに「日本産」としたほうがより「日本!!」って圧を感じるから不思議だ。ちなみに裏面の原材料名に記載されている馬鈴薯も、以前は単に「遺伝子組換えではない」としか表示されていなかったのが、新パッケージでは「日本:遺伝子組換えではない」と微妙に変えられている。なんとも芸が細かい。
少子高齢化による日本市場の縮小が叫ばれるようになって長い年月が経過するが、ポテチ業界にとっても市場縮小は人ごとではなかろう。この先もポテチ業界でやっていくには、単価を上げるか海外市場に打って出るか、この二つくらいしか選択肢がない。
ただ、前者の単価引き上げは容易ではない。だいたい湖池屋もカルビーも山芳もポテチの値段は同程度である。特に湖池屋とカルビーはうすしお、のり塩、コンソメの基本味はかぶっている。よほどの湖池屋ファン、カルビーファンでもない限り、カルビーのうすしおじゃなきゃダメ!、湖池屋ののり塩じゃないとユルせない!なんて青筋立てて声高に叫ぶ人はおらず、たいていの人にとって両メーカーの商品は代替可能なのだと思う。
となれば、湖池屋だけ単価を引き上げるとカルビーやその他のメーカーにお客さんが流れてしまう。それを避けるためには、湖池屋の商品が他社とは違うものであり、代替できないと思ってもらわなければならない。湖池屋がこだわり路線を追求するのはそういった考えに基づくのではなかろうか。
今のところこだわり高級化路線はカルビーよりも湖池屋が先行しているように見えるが、この差が今後さらに拡大するのか、カルビーがさらなる妙手を編み出して逆転を図るのか、ポテチ業界からまだまだ目が離せない。
味の感想
で、肝心の湖池屋ののり塩の味の感想は、過去記事を参照していただけるとうれしい。
ごちそうさま。次は何味を食べようか。
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