ポテチ猫

ポテチのネタを中心としたブログです。

静岡限定ポテチを食べる

  

静岡限定ポテチ①:茶ッス 抹茶ポテトチップス

先週末に熱海に行ったので、そのついでに静岡限定ポテチを2つほど買ってみた。

 

一つめは、茶ッスという抹茶味のポテチだ。なぞのキャラクターがパッケージの表を飾っている。インパクト抜群だ。

 

muranoeki.shop-pro.jp

 

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やや厚みがあるポテチ。

 

それもそのはずで、製造メーカーは、静岡県に所在するポテチメーカー、松浦食品有限会社だからである。同社は、自社製品もあるものの、OEMで他社のポテチ製造を担っており、そして同社の作るポテチは、他のポテチメーカーよりも厚めなのだ。これは多くのメーカーが使用する連続フライヤーではなく、同社が丸釜を使用することへの対応という面だけでなく、厚めこそが美味しさの秘密、という同社の精神の反映でもある*1。他のメーカーよりもじっくり揚げるため、色はこんがりきつね色。素朴でそそる色だ。

 

ちなみにOEMでの生産の流れは、ヒアリング(打ち合わせ) → 商品開発(種類、フレーバー、型、サイズの打ち合わせ) → 試作 → 見積もり・納期提案 → 本生産 → 納品 となっている。

 

製品化までの流れ - 松浦食品有限会社

 

で、味はといえば、あれ?、抹茶的要素は感じられない。基本塩味ながら、ほんのり甘じょっぱさがある。それとガーリックの風味。これ、試作段階でもう少し揉んでおくべきではなかったか??

パッケージに描かれた、湯呑み茶碗型頭部を持つ筋肉むきむきの「カテ筋」なるキャラクターが、「甘じょっぱいポテチが大好きだぞ!」と好みを披露していることからして、販売担当者もこのポテチが甘じょっぱいとの自覚はあるようだ。

ヘタウマ以外の表現が当てはまらないカテ筋は誰が考えたのだろう。何をもってセンスと呼ぶかは難しいところだが、パッケージ前面に広がる彼の顔はインパクト十分で、客の目を集めることがパッケージの目的とすれば、彼はしっかりその役割を果たしている。

私よりも鋭敏な味蕾を持つ相方に食べてもらったが、やはり抹茶的要素は感じられない、ということだから、抹茶ポテトチップスっすというほど抹茶感が強くないのはまちがいないようだ。味自体は、甘じょっぱいちょっと個性的なものながらクセになる味でもあるが、大量生産しているポテチではなく、ちょっと値段が高い(税抜き360円)という印象は拭えない。

 

静岡限定ポテチ②:カルビー堅あげポテト「桜えびのかき揚げ味」

もう一つの静岡限定ポテチは、カルビーの堅あげポテトの「桜えびのかき揚げ味」である。桜えび味ではなく、桜えびのかき揚げ味というニクい演出を加えている。ポテチは揚げ物だから自ずと揚げ物味になりそうだが、そんなことを言うと味付け担当者から、話はそんなに単純ではないと怒られてしまうかもしれない。

 

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桜えびは駿河湾産。製造所は各務原工場。熱海が静岡県だから、このポテチの製造所が岐阜県各務原市なのだろうか。東京に住んでいると東海道線の終着駅が熱海ということもあり、熱海が関東文化圏のような気がしてしまうが、熱海はやっぱり東海地方なのだ。ちなみに各務原は「かがみはら」と読む。ついつい「かくむはら」とキーボードで打ち込んでしまう難読地名である。

 

ポテチの味は間違いようがないほど、桜えび。

さすがである。

 

ごちそうさま。次は何味を食べようか。

 

 

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*1:ota25、大谷さん編『ジャガイモ学 日本ポテトチップス史』大谷号、2016年、43頁。

湖池屋工場直送便ポテチを食べる。そして湖池屋のこだわり

 

  

湖池屋のこだわり

プライドポテトシリーズを出したり、日本産じゃがいも100%使用をアピールしたり、最近の湖池屋がこだわり路線に注力していることは、ポテチストならずとも気づいているだろう。社名も2016年10月に「フレンテ」から「湖池屋」に変更、というか戻されている。われわれ消費者にとってポテチがコイケヤで表示されていたから、むしろフレンテという社名であったことのほうが認知度が低かったわけだが、これも会社を新たに生まれ変わらせたいという意思の表れといえよう。

さらにいえば、CI(コーポレート・アイデンティティ)ロゴもあわせて変更されている。現在のCIロゴは六角形の中に「湖」が位置する。

このCIロゴには下の意味が込められているそうだ。

 

六角形は、これまでの湖池屋のコアバリュー「親しみ」「安心」「楽しさ」に「本格」「健康」「社会貢献」を加えた新生 湖池屋のコアバリューを表現しています。

 

koikeya.co.jp

 

以前はポテチ等に楕円形の中にカタカナで「コイケヤ」と書かれたロゴが描かれていた。新CIロゴになってぐっと渋みが増したように思う。実際、「和」がイメージされているようで、現社長の佐藤章氏曰く、「わかりやすく言えば羊羹の『虎屋』さんみたいな雰囲気をイメージしました。『虎屋』さんのような和の世界観を、少しでも学びたいと思ったのです」*1

 

さらに創業の原点への立ち返りが意識されている。

 

それから意識したのは、創業者に学べ、創業の原点に学べということ。どういう気持ちで最初、ポテトチップスを作ったのかといえば、実は天ぷらだったのです。天ぷらをカラッと揚げるように、じゃがいもの素材がジューシーで、かつ旨味を損なわないうちに揚げ切るんだと。そこからポテトチップスが始まったということを聞いて、その継承技術をいまの時代、あるいは未来に向けてどうやったら活かせるかなと、そんな発想をしてきました(同上、11頁)

 

天ぷらが意識されていたというのはなんとも興味深い。湖池屋は今や日本のポテチの最定番の一つである「のり塩」を生み出したスナック菓子メーカーである。ポテチは米国由来のスナック菓子だが、日本での定着過程ではスナック菓子の日本化が図られていたというわけだ。湖池屋がポテチ生産を開始したのが1962年、日本ではじめて量産化に成功したのが1967年、それ以前からポテチは日本に持ち込まれていたが、洋モノの珍味という位置付けに過ぎなかった。海外の食文化が別の国に根付くかどうかは、それが現地の文化としてアレンジされるか否かだ。それがなくては、一部の金持ちや酔狂な人がたしなむ高級な、または珍奇な食事にとどまる。現在、ポテチ市場の最大シェアはカルビーが占めているが、日本でのポテチ定着に果たした湖池屋の存在はとても大きい。讃えて讃えて讃えまくって、それでも讃え足りないほどの功績なのである。

 

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湖池屋の工場直送便のうすしお味を食べる

そんな湖池屋のこだわりと矜持が詰まったのがプライドポテトシリーズなわけだが、オンライン限定で別のこだわりポテチを買うこともできる。

 

それが「湖池屋工場直送便」ポテチうすしお味だ。

 

shop.koikeya.co.jp

 

80グラム袋が6つ、生産日から3日以内に出荷される。出来たてポテチとして有名な菊水堂のポテチは近県であれば翌日には食べられるそうだから、それにはやや及ばないが、要するに出来たての新鮮ポテチを食べられるというわけ。

 

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ポテチなんてスナック菓子なんだから鮮度なんてカンケーないでしょ?なんて言わないでほしい。湖池屋から比べて後発のカルビーがシェア逆転に成功した鍵の一つが鮮度であった。1970年代は、スナック菓子に鮮度という発想がなかったため、鮮度が高ければ油が酸化せず風味が保たれると考えたカルビーが作りたての商品を提供することにこだわり、その早い気づきがカルビー躍進を支えたのである*2

 

湖池屋カルビーの従来品が生産日からどれくらいの日数で出荷されるのか不勉強ゆえ知らないが、それだけ鮮度が重要であり、だからこそ菊水堂のポテチが注目を浴びたのであり、湖池屋もプレミア商品的に工場直送便を発売しているというわけである。

 

さて、長くなったが、食べてみよう。味はうすしおだが、トッピングとしてかつお節と九条ネギチップが同封されている。

 

袋を開けるとじゃがいもの甘い香りが部屋を覆う。菊水堂ほどではないが、それでもなかなかのじゃがいも感だ。この時点で、美味しいに違いないことを確信。高まる期待と頬が緩むのを抑えることができない。

 

まずもって口当たりが軽い。工場直送便と知っているから先入観からそう感じる部分があるのを否定しないが、それを考慮しても口当たりが軽い。油っぽさがないのだ。これが鮮度のなせるわざか。普段から湖池屋にしてもカルビーにしても、その他のポテチメーカーにしても酸化防止には多大な努力をしているはずである。それでもなお製造から流通過程を経て、消費者の手に渡るまでに一定の酸化は避けられないということか。

 

ポテチが「生鮮食品」というのはあながち誇張とは言えないようだ。新鮮な刺身を食べた時のような衝撃、ポテチストでありながらこのように言うのはヘンだとは思うが、ポテチで鮮度によって衝撃を受けるとは思わなかった。工場直送便を食べ慣れてしまうと、通常のポテチに帰れなくなってしまうかもしれない。舌をわがままにさせるデンジャラスなポテチなのである。

 

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かつお節と九条ネギチップをかけるとこんな感じ。妻は高級な感じがすると言い、わたしはどん兵衛っぽくなったと思った。どちらの舌が正しいかは読者諸賢に試していただきたい。

 

ごちそうさま。次は何味を食べようか。

 

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 ↑工場直送便の箱に入ってくれるかと期待したが入ってくれなかった。

 

 

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*1:佐藤章「これからは『第3の創業期』鍵は日本的な世界観の再提案」『Monthly BOSS』2017年12月号、10頁。

*2:「お化け商品の舞台裏 ポテチ1枚への執念」『日経ビジネス』2010年7月26日号、47頁。

烏骨鶏本舗の烏骨鶏ポテトチップスを食べる

 

 

烏骨鶏本舗の烏骨鶏ポテトチップスを食べる

烏骨鶏本舗の烏骨鶏ポテトチップスである。Amazonで注文したのだが、画像からしてポテチというよりは折詰っぽくもあり、只者ではない雰囲気を漂わせる。

 

烏骨鶏本舗 烏骨鶏ポテトチップス 90g

烏骨鶏本舗 烏骨鶏ポテトチップス 90g

 

 

烏骨鶏本舗のウェブサイトの商品説明を引用しよう。 

 

もう一枚もう一枚と手がのびる
選りすぐり国内産のとれたてジャガイモと烏骨鶏との驚きのマッチング。烏骨鶏を丸ごとフリーズドライにしたパウダーはカルシウムと旨味成分たっぷり。香ばしい数種のスパイスとブレンドしたサクサクのチップスに振りかけました。烏骨鶏特有の深みと旨味が際立つ新しいポテトチップスです。

 

www.ukokkeihonpo.com

 

烏骨鶏を丸ごとフリーズドライでパウダーにしたってどういうことなんだろう。カルシウムが入ってるということは文字通り骨までパウダーにしたということか。チキン味ポテチの原材料はチキンエキスパウダーとなっていることが多く、にわとりを丸ごと使っているという印象はこれまで持ってこなかった。

しかし、烏骨鶏本舗の烏骨鶏ポテチは烏骨鶏を丸ごとパウダーにしたという。すごい発想だ。同社の主力商品は烏骨鶏の卵で作ったスイーツであるように見受けられるが、スイーツを作る繊細さだけではなく、規格外のワイルドさも兼ね備えているといえよう。

 

読者諸賢も思ったに違いないが、ここで生じる疑問はポテチになった場合、普通のチキン味と烏骨鶏味の識別が可能なのか、ということだ。そもそも烏骨鶏の卵はどこかで食べたかもしれないが、自分の人生で烏骨鶏の肉を食べたことはないように思うのだ。したがって、仮に再現率100パーセントだとしても、私の舌はその違いを認識できないのである。以下、私の味の感想を述べているが、その点考慮していただけるとありがたい。

 

ちなみにチキンつながりという意味では、かつて香川県丸亀市の名物、骨付鳥をもとにしたご当地ポテチを食べたことがある。あれはなかなか骨付鳥の再現度が高くてよかった。

 

mtautumn.hateblo.jp

 

実食

さて、実食である。味はガーリック味である。風呂敷めいた布のパッケージはプリントであるが、こうして写真で見ると本物の風呂敷に包まれているように見える。

 

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味はやはりというか、さすがに烏骨鶏かどうかはわからない。ガーリック風味はそれほど強くはない。食べたあとに誰かに口臭をかがせてもガーリック味を食べたとはバレないだろう。上記の骨付鶏ポテチをあっさりめにした味といったらよいだろうか。といっても、骨付鶏ポテチの認知度もさほど高いわけでないだろうから、そう言われてもイメージがしづらいだろうが、マイルドジャンキーな味なのである。それゆえ、烏骨鶏っぽいかと言われたら賛否両論ありえようが、適度なジャンキーさがありつつ、さりとてさほど濃い味でもないので、重たくはないがジャンキーなものを食べているという背徳感は味わえる。600円と言われるとちょっと高いかなーとは思うが、一般的なポテチの価格(150円前後)でコンビニに置いてあれば、手に取っても損はないであろう。

 

ごちそうさま。次は何味を食べようか。

 

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アメリカで日系ポテチを食べ、馬鈴薯論争を知る

 

 

KoikeyaのカラムーチョHot Chili with Seaweedを食べる

ロサンゼルスに出張で来たところ、泊まった場所はリトルトーキョーのほど近く。というわけで、日本製品を多く取り扱ったスーパーが近所にあったりする。

そこで見つけたのが、湖池屋のカラムーチョ、Hot Chili with Seaweed味。トウガラシ海苔味といったところか。日本製ではなく、台湾の湖池屋が流通させていて、それをロスの商社が輸入した商品。道理で日本では見たことない味のはずだ。

 

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実食してみると、まったくと言っていいほど辛味成分がない。全然辛くないのだ。カラムーチョが辛いに引っ掛けられているとは非日本語圏の人にはわかるまいが、トウガラシの絵も描かれているわけで、ちょっと看板(というか包装)に偽りありではないか??

 

むしろ甘いくらいか。私の舌がおかしいだけかもしれないが、味醂干しを食べたときのようなほんのりとした甘さを感じる。もともと台湾で製造されていたから、じゃあ台湾の人が辛さがまったくダメでわずかな辛味成分が入っているだけでも辛い!と感じるって話も聞いたことはない。何をどうしてこの商品をhot chiliとしたのか、ナゾは深まるばかりである。

 

アメリカで買ったカルビーののりしお味を食べる

で、次は別の日本食が手に入るスーパーで買ったカルビーののりしお味である。英語名はSeaweed & salt potato chips。量は200グラム。日本でもクリスマスのようなパーティーシーズンであれば特大サイズを売っているが、日常的にこのサイズが買えるのはさすがアメリカ。

 

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↑のりしお味をカルピスとともに。海外ではカルピスではなくてカルピコと変更されている。カルピスは「カウピス」(牛のおしっこ)みたいに聞こえるからというのは有名な話。

 

最初はサイズに惹かれて買ったこののりしお味だが、いざ食べてみると日本のそれと味が違う。

 

パッケージには日本語が書かれているが、製造は香港のようだ。であれば、日本語は不要そうだが、敢えて日本由来であることを示すために日本語を記したのかもしれない。途上国では中古日本車が使用されていて、そこでは敢えて塗装を日本で使われていたままにしていることが多い。現地の人は日本語の意味はわからなくても、それが記号として日本語であることは認識できる。そして、日本語が書かれていることが、日本製であるとの証明になるのだ。

ここ数年行っていないからわからないが、以前ミャンマーに行ったときは私が育った横浜でよく利用していた神奈川中央交通のバスが塗装そのままにヤンゴンの街を走っているのを見かけたものである。

 

で、味の話に戻ると、原材料名にsugar、すなわち砂糖が入っていた。日本ののりしおポテチには砂糖は入っていない。砂糖のありなしは大きな違いだ。どうりですぐに味が違うとわかったはずである。味覚というのは保守的なもので、私には砂糖入りのりしお味はなじめない。味自体がまずいわけではないのだが、のりしお味かと言われれば明らかに違うと言わざるを得ない。ホットチリ味同様、どこか味醂干しっぽいというか。

 

海外の人にとっては砂糖入りのほうが美味しく感じるのだろうか?

 

じゃがいもと馬鈴薯

さて、アメリカとは何ら関係がないのだが、日本のポテチの原材料名で、じゃがいもは、じゃがいもと馬鈴薯のふた通りの表記があることに読者諸賢も気づかれるはずだ。要はどちらでもいいということなのだろうが、下記の本で意外に奥深い話であることを知った。

 

ジャガイモのきた道―文明・飢饉・戦争 (岩波新書)

ジャガイモのきた道―文明・飢饉・戦争 (岩波新書)

 

同書によると江戸時代よりじゃがいも(当時はじゃがいもではなく、ジャガタライモと呼ばれていた)の意味で馬鈴薯という呼称が使われているわけだが、これは当時の本草学者である小野蘭山なる人物がジャガタライモを馬鈴薯と同定したことに遡る。しかし、他の蘭学者などがこの説に反対、馬鈴薯は黄独(けいも。ヤマノイモ科のニカガシュウのこと)であると主張したのである。

で、どうやら少なくともこの本が出版された2008年当時にこの論争は解決されていなかったようなのだ。それゆえ、現在でもじゃがいもと馬鈴薯は並行して使用されているということらしい(同上書、125-127頁)。素人の私からすればじゃがいも=馬鈴薯で十分なのだが、呼び名が並存している背景にはそういった事情があるのである。確かに他の野菜だとこうした並存関係は珍しいと思う。日本語か外国語かという並存はありえるだろうが、日本語同士で、しかも方言ではなくここまで広く二つの呼称が並行して流通することはあまりないだろうから、人に話したくなるトリビアの一つとも言えそうだ。

 

ごちそうさま。次は何味を食べようか。

 

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じゃがいもの名前バリーエション。そしてカルビー梅塩こんぶ味、モンストXピザポテト、湖池屋紀州岡畑農園の梅味を食べる

  

われらが愛するポテチの原料、じゃがいもの名前バリエーション 

われらが愛するポテチの材料がじゃがいもなわけだが、じゃがいもという呼び名が「ジャカルタ」にちなんだジャガタライモに由来することは広く知られている。

では、日本国内でじゃがいもはどう呼ばれているか。伊藤章治氏の『ジャガイモの世界史』(中公新書、2008年)をもとにまとめたい(主に166-168頁)。

 

ジャガイモの世界史―歴史を動かした「貧者のパン」 (中公新書)

ジャガイモの世界史―歴史を動かした「貧者のパン」 (中公新書)

 

 

もっともポピュラーなのはじゃがいもと馬鈴薯だが、その派生形が日本各地でみられる。馬鈴薯という呼び名は読んで字のごとく、馬が首につける鈴のかたちに似ていることに由来する。バレーショ、バレンショ、バレーチョ、バレージョといった派生形があり、隠岐や九州北部で比較的使われるそうだ。

このほか、収穫の仕方やゆかりの人物に由来する名前がある。収穫の仕方に基づく名前の代表例が「ニドイモ」であり、これは二期作を指している。要するに二度取れるからニドイモというわけ。この呼び方は関東以西に多いそうである。伊藤氏によると東北地方でもニドイモの呼称が使われているようだが、これは二期作地帯からもたらされたからその名前で呼ばれているだけで、東北地方で実際に二期作がなされていたわけではないという。

たくさん収穫できるという意味で、「ゴトイモ」(五斗芋)、「ゴショーイモ」(五升芋」という呼び方もある。 

人名由来では、「セーダイモ」という呼び方があり、これは17世紀後半の甲州の代官でジャガイモ普及に尽力した中井清太夫氏にちなんでいる。甲州、すなわち今の山梨県発祥の名称だからだろう、中部や関東でこの呼び方が使われているそうだ。

地名由来では、「ゴーシューイモ」(江州芋)、「シナノイモ」(信濃芋)という呼び方あり。江州(ごうしゅう)は現在の滋賀県信濃は現在の長野県。本書にはこれらの名称がどの地域で使用されているか書かれていないが、ジャガイモは西から伝播しただろうから、てっきり滋賀県や長野県以東を想像していたが、ネットで簡単に検索したところ、ゴーシューイモは徳島県で使わているという情報を見つけた*1。その記事が正しければゴーシューイモは徳島県以外ではあまり見かけない表現らしく、とすれば、ジャガイモの伝播は、西からかつての都である京都周辺に、その後四国へ上陸したということになろうか。世界的なジャガイモ伝播の歴史も十分に解明されていないそうだが、こと日本に限っても様々な経路でジャガイモが広がっていったのであろう。ジャガイモの道をたどる旅行も楽しそうだ。

 

人名由来では、「善太芋」、「お助け芋」という呼び方もある。善太芋は18世紀半ばの飛騨代官であった幸田善太夫に由来し、彼は信州(今の長野県)からじゃがいもを導入して、そのじゃがいもが天保の飢饉の際に役立ったということから、善太芋やお助け芋と称されるようになったわけである。飛騨は信州より西だが、これまた東から西への伝播である。江戸時代やそれ以前は交通の便も悪かっただろうから、単純に東か西かではなく、山や川といった地形によって伝播のルートが影響を受けたのだろう。さらに言えば、より早くじゃがいもに接していたとしても、育ててみようとは思わなかったのかもしれない。ヨーロッパでも導入当初はじゃがいもを気味悪がる向きもあったようだから、知ることと育てることは切り離して考えるべきといえるだろう。

 

mtautumn.hateblo.jp

 

そのほか、オランダ語の「aardappel」に由来する、アップラ(イモ)、アンプラ、カンプラという呼び名もある。カンプラの「カ」の要素が語源からはまったく感じられないが、カンプラは福島県におけるじゃがいもの方言で、味噌かんぷらという郷土料理があるようだ。今度福島県に行ったときは要チェックだ。

 

味噌かんぷら - Wikipedia

 

 

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カルビーギザギザ梅塩こんぶ味を食べる

さて、今週食べたポテチの面々を紹介しよう。

まずは、カルビーのポテトチップスギザギザ梅塩こんぶ味である。和装をメインとしたテキスタイルブランド「SOU・SOU」とコラボしたかわいいパッケージデザインが目を引く。

 

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ニュースリリース 『ポテトチップスギザギザ 梅塩こんぶ味』 | カルビー株式会社

 

カルビーニュースリリースを見ると、発売日は2017年1月16日で、コンビニ以外の店舗での発売、すなわちスーパー等での発売とのことである。すでに発売から1年が経過するわけだが、私はこれまで見かけたことはなかった。毎日スーパーに行っているわけではないから見落としても不思議ではないが、先日近所のスーパーで見つけたため、購入したのである。

 

梅塩と名乗っているだけあって、梅味ながらも塩分感がしっかりしている。通常の梅味ポテチだってしっかり塩分が入っているのだから、あえて塩味を強調しなくてもいいように思える一方、塩味がしっかりしているから、やはり梅塩こんぶのほうが商品の良さを的確に表しているともいえる。

人間は疲労すると塩分や酸味を求めるというから、そんなときはこの梅塩こんぶ味ポテチは最強のお供になるだろう。梅の開花時期にあわせた春の期間限定商品のようだが、暑さで疲労回復+塩分補給が必要な夏場でも案外需要があるかもしれないし、私自身、夏の疲れたときにも食べたいなーと思ったのだから。

 

カルビーピザポテト モンスト X ピザポテト 爆絶チーズミートを食べる 

カルビーがモンストとコラボしたピザポテトである。味は爆絶チーズミート。いかにもモンスト的であると言いたいところだが、私はモンスト未経験者である。

 

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www.calbee.co.jp

 

何かゲームで有利になるおまけが付いているのかと思いきや、そういうわけではない。あくまでモンストの宣伝が目的のようだ。

味は、なるほど確かに普段のピザポテトにミート感が加えられている。が、それによってピザポテトとして美味しくなったのかは賛否両論分かれよう。モンスターストライクとピザポテトの「奇跡のコラボ!!」と銘打たれているが、出会ったほうがよかったのか、出会うべきでなかったのか、判断が難しい。そもそも、ピザポテトはかなり完成度の高いポテチでアレンジできる余地が小さい気がすると個人的に思っていて、ミートが加えられてちょっとゴージャスな感じがしつつも、結局ピザの基本はマルガリータだよねーという感覚に近いものを感じる。

 

湖池屋プライドポテト紀州岡畑農園の梅を食べる

湖池屋プライドポテトシリーズの新作、紀州岡畑農園の梅味である。

 

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まずは商品パッケージの裏に書かれている岡畑農園の梅の紹介を引用しよう。 

 

和歌山県田辺市上邦養地区は、小高い山々が連なる梅の一大産地。岡畑農園「幻の梅」の故郷です。完熟させた粒選りの紀州梅を100%使用し、風味豊かで甘酸っぱい「幻の梅」の美味しさが引き立つ一品に仕上げました。

 

湖池屋のブログ「コイケなおやつ部」でホリサキさんも紹介しているが、梅干しパウダーがふんだんにかかっている。さすがは湖池屋プライドポテトシリーズ。パウダーを出し惜しみするようなことはない。パウダーの粒子がはっきりと感じられるほどだ。

 

koikeya.co.jp

 

味はといえば、たしかに甘さを感じる。同じ湖池屋のすっぱムーチョに比べて酸味は抑えられていて、梅味ながら、酸っぱい!!というよりは芳醇な甘さを感じられる仕上がりとなっている。これが岡畑農園の梅干しの実力なのかもしれない。

ところで、年をとったことと関係しているのかわからないが、徐々に酸味を敏感に感じるようになっているように思う。梅干しは好きだし、飲みに行って梅干し茶漬けがあれば頼んでしまうくらい梅干しはしっかりと好きなのだが、梅干しを食べたときは酸っぱくて口をすぼめてしまう、どころか悶絶さえしてしまう。その度合いが子供の頃より今のほうが大きいように思う。読者諸賢はそういったことはないだろうか。このブログ記事を書いていて、梅干し茶漬けを想像しただけで口の中に唾液があふれてくる。求めると火傷することがわかっていながら、それでも吸い寄せされる大人の道ならぬ恋といったところか。

その点、このポテチから推測するに、岡畑農園の梅干しは甘みもあるから、酸っぱさに耐え忍ぶ度合いは軽減されるかもしれない。それでも目の前に現れただけでも唾液の放出を抑えることはできないだろうが。

 

ごちそうさま。次は何味を食べようか。 

 

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↑ 最近は寒い日が続くせいか、ビーズクッションで寝ていることがいつも以上に多い。

 

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Whole FoodsのPBのSea Salt、湖池屋プライドポテトのうす塩味、そして菊水堂のしお味ポテチを再び食べる

 

Whole FoodsのSea Salt

最後に更新してから2週間以上が経過。その間、海外出張でアメリカに行ったりしていたわけで、せっかくなので当地で日本であまり見かけないポテチを食べようと思っていたが、読者諸賢の想像通り、アメリカのポテチは一袋のサイズが大きく、しかも日中は仕事なので言うほどたくさんのポテチを味わう時間もない。で、結局、当地で食べたポテチはWhole Foodsで購入したプライベート・ブランドの塩味ポテチのみ。

 

www.wholefoodsmarket.com

 

昨年、アマゾンが約140億ドルで買収したことでも話題となったが、Whole Foodsはオーガニック志向のちょっと意識高い系のお高めスーパーである。Whole Foodsではアメリカ出張のたびに買い物をしていたが、以前はなかったアマゾンの宅配ロッカーと思しきものが店内に設置されていて、アマゾン買収の影響が感じられた。ネット情報によるとEchoが販売されている店舗もあるようだが、私の行ったお店にはなかった。単に時期の問題だろうか。

 

店舗にもよるだろうが、品揃えも豊富でこだわりっぽい商品も置いてあり、質に厳しい日本人にも満足出来るスーパーである。日本で言えばクイーンズ伊勢丹明治屋といった水準の高級スーパーだが、そんなところでもレジ打ちのにーちゃん、ねーちゃんは、日本じゃかなり警戒されるであろうファンキーでクレイジーな髪型・服装でぺちゃくちゃおしゃべりしながら仕事していて、その光景はアメリカ的で、開放的で、なんだかいいなーって思った。仕事さえちゃんとしてくれれば、おしゃべりしようが、変わった服装だろうが、そんなことどうでもいいのである。日本のスーパーというか、サービス業全体というか、国全体というか、かなり堅すぎると思うのであって、もっと気楽でいいのにって思う。ただ、日本の製造業やサービス業が過剰な品質やサービスを提供しようとするのは、客がうるさいからであって、ちょっとの不具合やミスがあっただけでビービー言うからであって、15分遅れぐらいはon timeの気持ちでいられたらいいなあ、と思うのである。少なくとも自分はそうありたい。

実際、アメリカで15分遅れはon timeと言われたし(もちろん個人差はあるだろうけど)、アメリカに住んで長い日本人は、アメリカ人にミスを怒ったってまったく意味がなくて、むしろこっちが鷹揚かつ気さくに振舞って、いかに相手から質の高いサービスを引き出すかをゲームのように楽しむと自分もハッピー、相手もハッピーでウィンウィンになると言うのであった。至言なり。

 

さて、閑話休題

 

オーガニック志向の高級スーパーのプライベート・ブランドだけあって、塩味ポテチのクオリティはなかなか。ちょっと厚切りで、口に入れたときのバリっと感は張りがある。量は283グラム。日本では140グラムでビッグサイズだが、その2倍。買ったときはそこまで気にしなかったが、食べ進めても減った感じがしなかった原因がよくわかった。納得。

 

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菊水堂のしお味ポテチ

帰国してカルビーうすしお味などももちろん食べているが(なんせ私が一番好きなポテチはカルビーうすしお味なのだから)、ここでは菊水堂のしお味ポテチと湖池屋プライドポテトのうす塩味に触れておこう。

 

菊水堂のしお味ポテチは以前にも食べている。

 

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菊水堂のポテチといえば、基本的にはネット通販でしか購入できないとして有名だ。ネット通販を主にするのは同社がポテチの鮮度を重視するからだ。出来上がったら即配送するためである。一部の高級スーパーで見かけることはあったが、普通のスーパーやコンビニで見かけることはまずない。

 

が、あったのである。家の近所の文化堂に。文化堂は東京と神奈川に店舗を持つスーパーであるが、特段高級スーパーという印象はないし、実際商品の値段や内装のつくりからして文化堂自身としても高級スーパーというよりは地域に根付いた存在を目指しているようにも見える。さらにグーグルで文化堂、スーパーとキーワードを打ちこめば、「安い」という言葉が予測で表示される。このことから推測して、文化堂は高級スーパーではあるまい。

 

スーパーマーケット文化堂

 

にもかかわらず菊水堂のポテチが売っていたのである。相方がそれに気づき、私のために購入してくれた。

 

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日本にはこだわりポテチがたくさんあって、そして菊水堂の認知度が向上するにつれて、最近のポテチ特集では菊水堂以外のポテチが紹介されることも増えているように思う。私もいくつか食べたことがあるが、開封したときに漂うじゃがいもの芳醇な香りは菊水堂が随一だ。グランカルビーは厚切りにすることでじゃがいも感を演出していたが、菊水堂はうすぎりでも十分にじゃがいもである。こだわりポテチの盟主がつくるポテチはやはり素晴らしい。

 

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湖池屋プライドポテトのうすしお

 続いて湖池屋プライドポテトシリーズのうすしお味。

 

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言わずと知れた大手ポテチメーカーが世に送り出すこだわりポテチシリーズ。さすがこだわりシリーズというだけあって、焼塩、藻塩、平釜炊きの塩の三種類の塩が使用されている。ただ、塩だけではなく昆布とまぐろ節も入っている。

 

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そのせいだろう、菊水堂のしお味ポテチの後に食べると、うすしお味というよりは出汁味に感じる。うすしお味に旨味系の材料を投入するのは多くの商品に見られる傾向。私が大好きなカルビーうすしお味もしかり。で、普段違和感なくそれをうすしお味として食べているのだが、完全なるしお味(塩しか入っていないやつ)を食べた後だと相対的に出汁のインパクトが強くなって、むしろ出汁味が前面に出てくる。

こんなふうに書くと湖池屋うすしおを批判しているように感じられようが、じゃあ、私は旨味系の原材料が入ったうすしお味が邪道、ニセモノと思うかといえば、そんなことは思わない。なんせ日本の食文化に出汁は欠かせないのだから。ポテチはアメリカで生まれた食べ物(違うという説もあるが)。当然アメリカのポテチには出汁風味は入っていないのだが、それが日本に入り普及していく過程で出汁的要素が加味されていく。それはあたかもハンバーガーにおけるテリヤキバーガーのようなもの。ポテチが現地化(日本化)していく過程で出汁的風味が重要だったとすれば、それは文化論的に捉えて非常に興味深い発展プロセスなのだろうと思う。むしろ胸踊る想像ではないか。

 

Whole FoodsのPBしお味ポテチ、菊水堂のしお味、湖池屋プライドポテトのうすしお味、同じ塩味ながら三者三様で非常に奥深いのである。

 

ごちそうさま。次は何味を食べようか。

 

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幻のじゃがいもの話&グランカルビーを食べる

一日一個のりんごで医者いらず(ことわざ。毎日りんごを食べると健康にいいという意味)

 

 

希少じゃがいも「今金男しゃく」と湖池屋のタッグ

以前書いたことがあるが、ポテチに使用されるじゃがいもは主にトヨシロ、スノーデン、きたひめであり、とりわけトヨシロがよく使われる。

これらの品種は、ぐぼみが少なくと皮がむきやすい、油で揚げたときに焦げにくい、水分が少ないので薄くスライスがしやすいという特徴を持っている。だから、ポテチに向いているのである。

 

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しかし、企業の商品開発への情熱はすさまじく、差別化のためにあえて希少なじゃがいもでのポテチ作りに挑戦することだってある。

最近の湖池屋は高級・こだわり路線に舵を切っているが、プライドポテトシリーズの一つ「今金男しゃく 幻の芋とオホーツクの塩」で使われている、今金男しゃくは、じゃがいもの町として知られる北海道今金町でしか生産されていない希少なじゃがいもだ。

 

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日本農業新聞によると、今金男しゃくは、「でんぷん質が多く、甘くてほくほくした食感が楽しめる。土壌が肥えた今金町だからこそ栽培できる、ジャガイモのトップブランドの一つだ。町内では原種から種芋、食用芋まで一貫した栽培にこだわ」っているじゃがいもで、ただ、栽培に手間がかかるので、生産量が限られるとのこと(「コラボで伸ばせ希少食材」『日本農業新聞』2018年1月1日)。

生産量が限られるから、生鮮は東日本でしか流通しておらず、それゆえ東海以西の消費者にはなじみがない。販路を広げたいと思っていたところ、希少性が売りになると見込む湖池屋が商談を持ち込み、両者の利益が一致、今金男しゃくを使ったこだわりポテチが誕生したというわけだ。

win-winの新商品開発なわけだが、湖池屋もJA今金も利他的だったわけではなく、己の利益の最大化を図った結果としてのこだわりポテチ誕生というわけで、資本主義バンザイ、神の見えざる手バンザイである。資本主義は完璧な経済体制と言うつもりはないが、神の見えざる手は不器用ながらもしっかりとわれわれに恩恵をもたらしてくれる。

 

「今金男しゃく 幻の芋とオホーツクの塩」は全国のコンビニやスーパーで購入できるが、当初はインターネットでの限定販売であり、いまでもオンラインショップ限定の今金男しゃく使用のポテチがある。残念ながら2018年1月2日現在では「完売御礼」となっている。今年も作られるかもしれないので、ポテチストは要チェックである。

 

幻のじゃがいもで作る『特別なポテトチップス のり塩 今金男しゃく』販売予約|おやつを買うなら湖池屋オンランショップ

 

 

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グランカルビーを食べる

話の流れからすれば、ここは湖池屋のポテチを紹介するべきなのだろう。しかし、いま手元にあるのは、湖池屋の永遠ライバル、カルビーのグランカルビーのポテチだ。こだわりポテチという点では、湖池屋の今金男しゃくポテチに引けを取るものではない。

ポテチ界の両巨頭がポテチ開発にしのぎを削ってくれるからこそ、われわれは美味しいポテチを食べることができる。両巨頭の戦いは価格150円前後のスーパー・コンビニポテチだけでなく、こだわりポテチの世界まで及ぶ。死闘と形容するに相応しいがっぷり四つの戦いは私のような凡人にとてもついていけるレベルのものではなく、ドラゴンボール世代ならわかる例えだろうが、天下一武道会の悟空たちのスピードについていけず、「見えない」とつぶやく観客の一人に私は成り下がるのだ。

 

と、こだわりつながりということで無理やりに話をグランカルビーに移そう。

 

バーニャカウダ味は先日紹介したので、今日は残りの、濃厚バター、チーズ、しお、塩キャラメル、焼き林檎だ。私が購入したのは2017年の11月であり、現在のグランカルビーのラインナップは変わっている。

 

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統計的には我が日本は戦後二番目の長さの好景気の只中にいるようだが、一介の会社員である私にその恩恵が及ぶことはなく、バブルのような熱狂はもう訪れないのだろうと半ば達観する日々を過ごすばかりだが、ことポテチの世界ではバブル期にさえなかった高級ポテチが世に出回っている。

 

グランカルビーの特色はポテチの厚みだ。面積的には普通のポテチより小さいが、厚みは薄めのせんべいくらいあるだろうか。厚みがあることで、よりじゃがいもの風味を楽しめるのだ。今金男しゃくポテチをこの厚みで食べてみたい、とふと思う。ここで、一つ一つの私の個人的感想を述べよう。

 

しお味

ロレーヌ産の岩塩を使っているというしお味。フランス北東部のロレーヌ地方で産出される岩塩は、まろやかな味わい。その岩塩を使っているからなのだろう、塩感はありながらもビリビリするようなしょっぱさではない。アミノ酸調味料が使用されている点で添加物を入れないしお味ポテチとはやや方向性が異なるかもしれないが、添加物フリーのしお味ポテチに物足りなさを感じることがないわけではないので、その意味ではグランカルビーは美味しさを優先したといえそうである。個人的にはこのグランカルビーしお味はなかなかの出来だと思うので、正月用に140グラムのビッグサイズを発売してほしかった。

 

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濃厚バター味

バター味を謳っているが、原材料名を見るとしょうゆパウダーも入っている。バターだけだと物足りないのか、それとも日本人にとってバター味は醤油と切っても切り離せないのか、はたまたバター醤油味だと安っぽくてグランカルビーにそぐわないと判断されたのか、そこらへんの内部事情は知る由もない。バターにもこだわりがあるのかもしれないが、私の鈍い味覚感知能力では、そこまで感じ取ることはできなかった。北海道産バターが使われているようだが、日本のバター輸入量は少ないし、生産量の8割以上が北海道だから、こだわりポイントは使用するバターの種類ではなく、量なのかもしれない。

事実、本製品にはバターパウダーが製品中0.3%含まれていると謳われている。通常のバター味系ポテチではもっと使用量が少ないということなのだろう。少ないなーと思う反面、それだけの量でも十分味がするのだから、むしろ山椒は小粒でもぴりりと辛いといったところか。

 

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チーズ味

これまた通常のチーズ味との差はわかりづらいが、クリームチーズパウダーが入っているためか、ほんのり酸味を感じられた。

 

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塩キャラメル味

袋を開けた瞬間にキャラメルの香りが広がる。味は映画館で売られているキャラメル味ポップコーンを彷彿とさせる。

 

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焼き林檎味

前回紹介したバーニャカウダ味を含めて、今回の6つの味の中で出色の出来栄えだったのが、この焼き林檎味だ。りんごはフランス語で「pomme de terre」(大地のりんご)というが、地上のりんごと大地のりんごが見事なハーモニーを奏でている。わずかに含まれる食塩がりんごの甘さを引き立てる。定番のしお味は安定のうまさを発揮しているが、普段食べられない焼き林檎味は意外性と完成度を兼ね備えていて、グランカルビーシリーズのスタメンとして固定してほしい。

 

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なんでこんな珠玉の組み合わせが今までなかったんだー、と私は一人吠えたのだが、それは単なる私の不勉強であり、実は湖池屋が2016年にすでにりんご味を市場に投入していたのだった。京橋千疋屋「非公認」とわざわざ明記するあたりも面白いが、それ以上につっこむべきところは、湖池屋が「活況を呈する朝食マーケットに対応する新商品」としてりんご味を開発したというところ。

 

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アメリカでは付け合わせとしてポテチが添えられていることもあるから、別に朝食としてポテチを食べることがあながち不自然なわけではないが、日本ではあくまでおやつという位置付け。ポテチが主食って、そんなことあるわけないやんか、と思ったが、そういえばむかしむかしタレントの千秋がお菓子が主食って言ってたっけ。それにグランカルビーは60グラムで580円もするから、毎朝グランカルビーの焼き林檎味をブレックファーストに食べてまーすと言えば、さりげないセレブアピールとしても使えるのだ。

 

最後のほうは力尽きてやや味の紹介が雑になったが、ポテチの無限の可能性を感じられる一箱であった。

 

ごちそうさま。2018年もポテチをたくさん食べよう。

 

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